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- 中小企業の新たな法律リスク
- 第60回 『無知は罪よ! ハラスメント対策を諦めるな~!!』
いよいよ来年(2022年)4月から、中小企業、個人事業主にとっても、通称「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)に従ってパワハラ対策を講じることが、法的な義務になります。
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堀内社長: 賛多先生、うちのような社員20名ほどの小さな会社でも、パワハラ防止対策を打つことが、来年度から義務になると聞きましたが、何から始めたらよいのか分からず、途方に暮れています。
賛多弁護士: よく分かります。もっとも、すでに昨年(2020年)6月から法的な義務になっている大企業でも、禁止規定や相談窓口を設けたり、管理職の研修をしたりするのがやっとで、中身はまだまだというところも少なくありません。社員が活き活き働ける会社にしたいという社長の思いさえあれば、私どもがお手伝いします。
パワハラ対策は、大きく3つに分けてとらえると分かりやすいです。①決意とルールを示す、②相談体制を機能させる、③成長へ繋げる、ということです。
堀内社長: 最後の「成長へ繋げる」というのは、意外ですね。パワハラを無くさなければならないから法律ができたのではありませんか。
賛多弁護士: 確かに、どんな理由があっても許されない、暴行や脅迫、いじめや嫌がらせは、職場から根絶しなければなりません。懲戒処分などによって、厳しく処断しなければならないこともあるでしょう。けれども、実際に職場で起きているパワハラ問題はもっともっと広いのです。管理職が「パワハラ」と言われるのを怖がって、部下に指導や注意をするのを控えたり、業務で厳しい要求をすることをやめたりしたら、組織は弱体化してしまい、本末転倒です。叱ってはいけないのではなく、大切なのは、叱り方です。パワハラを受けたと感じる社員も、パワハラをしたと言われる社員も、どちらも成長するように導かなければなりません。
堀内社長: なるほど、そういった黄色信号、つまりグレーゾーンの段階で、双方に介入するべきなのですね。
賛多弁護士: おっしゃるとおりです。仕事がうまくできない部下と、部下をうまくマネジメントできない上司。どちらも、「職場の中の困った人たち」ではなく、「職場の中で困っている人たち」と見ることができるかどうかがポイントです。それぞれが、困り事を前向きに解決するために自らの思考や行動を変えてみるよう、手助けをするのです。
堀内社長: そうなると、「相談体制を機能させる」ためには、相談窓口の役割が重要になりますね。大きな会社ならば内部通報の窓口を設けていることがありますが、あそこまでやらなければいけないのですか?
賛多弁護士: ハラスメントの相談窓口と内部通報の窓口とは、本来、役割が異なるのです。内部通報は、社内の不正をつかむ端緒になればよいので、匿名でも通報を受け付けるべきですし、通報者に対しては、調査した結果を回答する、という流れが基本になります。これまでも内部通報窓口には、パワハラを受けている、或いは、パワハラが行われているという通報が寄せられることが少なくなかったのですが、内部通報への通常どおりの対応では、パワハラと認められる事実があったか否かの判断を下すことが対応の中心になってしまい、通報した人にとっては、満足を得られずフラストレーションがたまるだけで、前向きに対処するための助言も得られないことが多いのが実態です。
堀内社長: それでは、会社としても、先ほどのグレーゾーンのパワハラ問題の前向きな解決につなげにくいですね。
賛多弁護士: そうですね。ハラスメントの相談窓口は、内部通報の窓口とは別に設けるか、或いは、同じ窓口で受け付けるにしても、ハラスメントの通報については対応の仕方が異なることを明確にするべきですね。
堀内社長: なるほど、ハラスメントの相談窓口と内部通報の窓口とは、似て非なるものなのですね。そうなると、ハラスメントの相談窓口を担当するためには、カウンセリングやコーチングの能力が必要ではないですか。
賛多弁護士: はい、そのとおりです。ほかにも、当事者や関係者にヒアリングをして、現実に起きている事実を客観的に把握する能力も必要です。さらに、社員の個性の違いや業務への適性を見極め、適応のための支援をする能力も必要ですね。
堀内社長: そんなスーパーマンみたいな社員はいませんよ。私でも無理だと思います。
賛多弁護士: 完成された人はどこにもいないでしょう。しかし、社長であれば、その意欲とセンスを感じる社員の存在には気づいているのではありませんか。いずれも、組織を経営するために求められることですから。あとは、外部の専門家の力を上手に借りて、その社員とチームを組ませるのです。
堀内社長: このような指導ができる専門家を見つけられるでしょうか。
賛多弁護士: それこそが、私どもの仕事です。カウンセラーの受容的態度と行動変容を促す力、弁護士の事実の調査・認定と説得の力、人事マネージャーの適材適所と育成の力など、それぞれの本籍を持ちながらも、専門の垣根を超えて自らも動ける、必要に応じて協働もできる専門家は、お互いをよく知っているものです。
堀内社長: 是非、うちに合った相談体制を作るために力を貸してください。ところで、そもそもの「決意とルールを示す」ために良い方法はないでしょうか。
賛多弁護士: それなら、ちょうど良いものがあります。ここに、労働行政や法律の専門家の監修を受けながら、映像制作のプロたちが、徹底したエンターテインメントにこだわって作り上げたDVDドラマがあります。まずは、社長から新入社員まで皆さんで大笑いしながらこれを見て、パワハラに悩まされない職場づくりへの一歩を踏み出してください。これを素材として、法が求めるパワハラ防止対策の一つである社員研修を提供することもできますよ。
堀内社長: 何かワクワクしますね。早速、拝見します!
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当事務所は、7月にリリースされたDVDドラマ「織田信長と学ぶ業績UPのパワハラ対策」も活用し、すべての社長のためのハラスメント対策支援事業をローンチする準備を着々と進めております。ご期待ください。
「織田信長と学ぶ業績UPのパワハラ対策」DVD
<ストーリー>
天下統一の道半ばで倒れた織田信長が、
現代の経営者として再び組織のトップに!
誓うことはただ1つ「二度とパワハラはせぬ!」
「足りなかったのは、イグ・ラングをハート・ラングにしなかったこと」
くのいち弁護士の手ほどきを受け、正しい指導法を学んでいく。
今度こそ歴史は変わるかもしれない!?
DVD2枚組・約100分 価格:33,000円(税込)
出演:要潤、壇蜜ほか
労働行政監修:戸苅 利和(元厚生労働省事務次官)
法律監修:弁護士 鳥飼 重和(鳥飼総合法律事務所)
販売元:(株)鳥飼コンサルティンググループ
https://tcg-nobunaga.com/(予告動画も公開中)
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 小島健一