- ホーム
- 社長のための“儲かる通販”戦略視点
- 第251号 通販的「企業存続の極意」
ベネッセコーポレーションの創業社長である福武総一郎氏の「戒め」を、私は通販セミナーの冒頭で紹介することが多い。この3 つの戒めは、福武氏が創業以前に出版社を倒産させた経験から得た教訓だという。
[戒め1] 前金主義
[戒め2] 無在庫・受注生産・予約販売
[戒め3] 継続ビジネス(ストックビジネス)
これらは、一度注文するとリピート顧客化できる、通販の定期販売システムそのものの考え方と言える。現在、ベネッセは妊娠・出産・育児に関する出版事業から、小・中・高・学生・社会人向けの通信教育、そしてシニア・介護まで事業領域を拡大し、文字通り「揺りかごから墓場まで」を実現。人生すべてを網羅したスケールの大きい継続ビジネスを構築している。
この考え方と同様の経営戦略で成長した企業の一つがセコムである。創業社長の飯田亮氏は、警備サービス業を始めるにあたり、3 ヵ月前納の前払制を導入した。警備は1 度頼めば中断しがたい継続性があり、もちろん在庫も存在しない。同社の草創期は、企業向けの警備サービスがメインだったが、1981 年からは、一般家庭向けの「ホームセキュリティシステム」の販売を開始。その後もGPS を使った見守りサービス「ココセコム」、ドローンを活用した監視ロボット「セコムドローン」など、時代に先駆けたサービスを提供し続けている。
この2 社が創業時から基盤としている「前金制」「無在庫」「継続ビジネス」という通販に共通する3 要素は、まさに“倒産しない経営戦略”なのである。