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採用・法律

第161回 その事業承継本当に大丈夫ですか

中小企業の新たな法律リスク

建設業の3代目社長である小川社長が、賛多弁護士のもとに相談に来られました。以前は事業承継の点で頭を悩ませていた小川社長でしたが、その表情は明るそうで…。

* * *

賛多弁護士:小川社長、お久しぶりです。以前は、たしか事業承継について悩まれていましたよね。

 

小川社長:はい。そうですね。あれから銀行から提案を受けた事業承継スキームを行い、来年の中頃を目途に株を前の社長から株価を圧縮して譲り受けることができそうです。これにて一安心かなとは思っています。

 

賛多弁護士:そうですか。たしか私の記憶では、お父様は個人で所有されている不動産を会社に貸していましたよね。

 

小川社長:そうですね。その状況に変化はないです。うちは建設業なので、色々と機械が必要になるので、父の所有している広大な空き地を倉庫兼駐車場として使用しています。

 

賛多弁護士:なるほど。その土地は、お父様個人の所有ということですね。事業承継を検討された際に、お父様個人の相続についても併せて対策を行ったのですか。

 

小川社長: いえ。なんせ親父は頑固者ですからね…

 

賛多弁護士:そうなのですね。では、お父様個人の相続対策として遺言書の作成はされていないのですか。

 

小川社長:はい。父親は、会社に貸している土地以外にも不動産を多数所有しています。我が家は、私と姉がいますが、姉は結婚していません。父の相続人は母と姉と私なので、相続で揉めることはないかと思うのですが。

 

賛多弁護士:ちなみに、立ち入った話で恐縮ですが、小川社長にご子息はいらっしゃいますか。

 

小川社長:私は、結婚していますが、子どもはいません。なので、後継者としては妻の親戚で適任者がいないかなとも考えています。

 

賛多弁護士:なるほど…。万が一、お父様が亡くなった場合、遺言書がないので、会社に貸している不動産も含め、相続人の共有状態となります。どの財産をどう分けるかを検討することも必要となりますが、その検討においてお父様の所有している不動産を売却したいと考えた場合、相続人全員の同意、すなわち、お母様とお姉様と合意をしなければなりません。

 

小川社長:そうなのですね。父は投資物件として、都内のタワーマンション1部屋所有していますね。

 

賛多弁護士:そのような不動産は収益性が高く、昨今の不動産市場の変動をみると売り時について意見が分かれる相続財産となりますね。

 

 小川社長:というと、どうなりますかね。

 

賛多弁護士:仮に、小川社長が相続税の納付の原資のために売却したいとお考えになっても、例えばお姉さまが売却は今のタイミングでないと考えた場合、売却がかなわないということです。

 

 小川社長:なるほど。他のリスクはありますか。

 

賛多弁護士:さきほどお父様が所有されている土地にについて会社に貸しているということですが、それもお姉様が持分を持つことになるので、もっと良い条件で貸そうとかそういった話になるリスクはありますよ。遺産分割協議は、やはり話合いがベースになりますので、あらゆることを言ってくる可能性を考えなければなりません。

 

小川社長:我が家は相続で揉めないと思っていましたが、色々と火種になる可能性があるのですね。

 

賛多弁護士:そうです。相続はおこってみないとわかりません。少なくともいえるのは、相続でもめてしまうと取り得る選択肢は非常に限られてくるので、事前の相続対策が重要です。

 

小川社長:具体的にはどのような対策でしょうか。

 

賛多弁護士:お父様の場合、まず遺言書の作成を検討する必要があると思います。残念ながら、会社の株といった点で事業承継を完了しても、個人の相続対策をおこなっておらず、結局会社経営に支障をきたしてしまうケースがあります。事業承継は、株を渡して終わりではなく、個人の相続の帰趨も踏まえた観点で検討する必要であります。

 

小川社長:なるほど。父と話してみます。

 

**************

小川社長のように事業承継に当たって、株の移転のみを完了してそれで大丈夫と思っている方は少なくありません。個人の相続対策もあわせて検討する必要があることは見落とされがちですので、一度見直してみましょう。

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 横地未央

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