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第35回
春秋がなくなり「四季」ならぬ夏冬だけの「二季」に
~「異常気象」を超える「パニック気象」の世を生き抜こう!~

次の売れ筋をつかむ術

近年、特に2008年頃から、春らしい春と秋らしい秋がなくなり、
「四季」ならぬ、夏と冬だけの「二季」になって来ている。
 
「異常気象」を通り越して、もはや、「パニック気象」だ。
 
それが証拠に、日本各地で、桜やヒマワリ、リンゴや梨など草木の花の
季節はずれの狂い咲きが頻発している。

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◆最も遅い真夏日から、1カ月で一転、氷点下に!?
 
2013年10月12日、東京都心の最高気温は31.3℃にまで上昇し、最も遅い真夏日を更新した。

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奇しくも、ロシアに樺太の領有を認め千島全島を日本領とする樺太・千島交換条約が締結された、
1875年(明治8年)に観測されて以来のことだ。
 
しかし、たった1カ月後の11月11日には、東京で、2012年より1週間早く、
「木枯らし1号」が吹いた。
 
この日、北海道には真冬並みの寒気が入り、道内各地で積雪を記録した。
 
関東各地の気温も氷点下となり、その後、連日冷え込んで、東北各地では大雪が続いた。
 
草木ならずとも、「一体、どうなっているの?どうすればいいの?」と地球に聞いてみたくなる。
 
◆都内で夜でも30℃超の「超熱帯夜」、各地で「記録的猛暑」
 
2013年の夏は、各地で「記録的猛暑」が続いた。
 
8月11日、高知県四万十市で、国内観測史上最高の41.0℃を記録し、6年ぶりに国内記録を更新した。 
 
夏の平均気温は、東日本ではプラス1.1℃の統計開始以降、第3位タイ記録、
西日本ではプラス1.2℃と統計開始以来、第1位となり、記録更新。
 
全国927の観測地点の内、143地点で観測史上最高気温を記録した。
 
猛暑日を観測した地点数は290超で過去最高数を記録し、その内、100地点以上で10日以上連続して
猛暑日を記録し、各地で最長記録を更新。 
 
8月11日に、東京都心で最低気温30.4℃という、観測史上初めて夜になっても30℃を下回らない
「超熱帯夜」の日を経験した他、複数地点で一日の最低気温の最高記録を更新した。

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6月~9月の熱中症による救急搬送者数は5万8729人を数え、2012年より28.5%も増加した。
 
6月からの調査を開始した2010年以降でも最多となり、
2013年の夏は、ナント、内科医の3人に2人が熱中症患者を診察していた。 
 
毎年、「夏の甲子園」では高校球児たちが熱戦を繰り広げてきた。
しかし、2013年は例年の倍以上の1日平均約30人もの観客が熱中症などの症状で手当を受けた。
 
灼熱の太陽の下、試合を続ける選手はもとより、スタンドで応援する人達のことを考えれば、
はたして今後も「夏の甲子園」を、このまま続けるべきなのか議論が高まるに違いない。 
 
◆猛暑から「記録的寒波」へ落下する「ジェットコースター気候」
 
しかし、夏の「記録的猛暑」から、一転して、冬は「記録的寒波」となるかも知れない。
言わば、気温がつるべ落としのように落下する「ジェットコースター気候」だ。

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戦後、日本で100名を超える犠牲者を出した豪雪は6つある。
 
まずは、1963年(昭和38年)1月から2月にかけて、主に新潟県から京都府北部の日本海側と
岐阜県山間部を襲い、231名の犠牲者を出した「38豪雪」である。
 
続いて、1980年(昭和55年)12月から1981年(昭和56年)3月にかけて、
東北地方から北近畿までを襲い、152名の犠牲者を出した「56豪雪」。
 
1945年(昭和20年)も豪雪で、ちょうど18年ごとだったので、昭和時代までは
「豪雪18年周期説」が唱えられていた。
 
しかし、バブル経済の崩壊後、「失われた20年」に向かう日本経済の冬の時代と裏腹に、
1980年代後半から暖冬少雪の時代が到来し、しばらく雪の少ない年が続いた。
 
ところが、最近再び豪雪の年が増え、実に、戦後、100名を超える犠牲者を出した豪雪の
6つの内3つは、ここ数年のことだ。
 
2006年(平成18年)には「56豪雪」と同数の152名もの犠牲者を出し、
2011年(平成23年)は131名、2012年(平成24年)12月から2013年(平成25年)2月にかけても
豪雪で132名と、立て続けに多くの犠牲者を出している。
 
今後は、北海道、東北、北陸、山陰の豪雪地帯のみならず、首都圏など太平洋岸でも
大雪には注意が必要だ。
 
黒潮が蛇行した年は首都圏でも大雪となる年が多いが、2013年も黒潮の蛇行が大きくなっている。
 
年初の2013年1月14日には、東京都心で8センチの積雪があった。
交通機能は麻痺し、路面凍結による横転などの事故で551人が救急搬送された。
 
気候がジェットコースターのように落ちたりひっくり返ったりしようとも、
雪降ろしで屋根から落ちたり道でひっくり返ったりしないよう気を付けよう!
 
◆「ゲリラ豪雨」が都市の土地評価を変える!?
 
近頃、まるで亜熱帯のスコールのような「ゲリラ豪雨」が増えている。

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「国連環境計画」(UNEP)と国連の専門機関である「世界気象機関」(WMO)が共同で設立した
国際会議「気候変動に関する政府間パネル」でも、
 「地球全体の温暖化によって、日本のような中緯度の地帯では、
  今世紀末までに極端な降水がより強く、より頻繁になる可能性が非常に高い」
と見通している。
 
水の循環を研究している東京大学の沖大幹教授も、「集中豪雨によって水害が増える恐れがある」と
指摘している。
 
ここ数年、全国各地で、1時間に100mmを超える誰も経験したことのないほどの雨が降り、
甚大な被害を及ぼしているのはご存知の通りだ。

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もはや豪雨による被害は海岸や河川の近くや山沿いなどに限らない。
 
2013年の8月~9月、たった一日の数時間だけの雨で、東京、大阪、名古屋の都心部が、冠水・水没し、
都市機能が完全に麻痺する事態に陥った。

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昨今、夏の降雨量が急激に増えており、1時間100mmの雨は東京でも珍しくない。
 
そんな豪雨がもし数日間降り続けば、荒川や隅田川、神田川、目黒川が氾濫しないとは限らない。
 
最悪の場合、荒川区、墨田区、葛飾区、江戸川区、台東区、北区のほぼ全域が水没する可能性がある。
 
新宿区の神田川沿い、目黒・五反田・大崎の各駅周辺の目黒川沿いも水没しかねない。
 
堤防が決壊することにでもなれば、水が地下鉄のトンネルを伝わって丸の内や大手町にまで
流れ込むことさえあり得る。

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そうなると、土地が低い渋谷や北千住はもとより、東京、銀座、赤坂、六本木といった
都心の97駅が水の底に沈むと想定されている。
 
江戸東京の歴史は埋め立ての歴史だ。
 
歌川広重が描いた「東海道五十三次」の品川や御殿山花見の浮世絵を見ても、品川の下までは、
もともと海であり、大半が築地や月島(築島)のように築かれた土地であることを忘れてはならない。

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田舎であろうと大都市であろうと、日本中、「ゲリラ豪雨」がいつ襲ってくるかわからない。
 
地震のみならず、豪雨による洪水をも想定して生きて行かねばならない。
 
また、東日本大震災による液状化によって住宅地の価値評価に変化が起こったが、
今後は利便性やステイタスで住宅やオフィスの立地を考えるだけではなく、
豪雨に見舞われた際の安全性もが評価の基準の一つとなって来るに違いない。
 
◆「竜巻」被害が急増で「地下シェルター」が普及する!?
 
「竜巻」による被害も、昨今、急激に増えている。
 
1990年12月、千葉県茂原市で、国内観測史上最大クラス(藤田スケールF3)の竜巻が発生し、
1人が死亡、73人が負傷した。
 
2005年11月、北海道佐呂間町で発生した竜巻によって工事事務所などが倒壊し、
作業員ら9人が死亡、31人が負傷した。
 
2012年5月、茨城県つくば市や栃木県真岡市など北関東で複数の竜巻が同時に発生。
 
つくば市では、建物の下敷きになった中学3年の男子生徒が死亡。両県で50人以上が負傷した。
住宅の被害も大きく、家屋約2千棟で損壊の被害が出た。

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2013年9月には、埼玉県と栃木県で竜巻の発生が相次ぐなど、全国各地で竜巻が突如として発生し、
甚大な被害を及ぼしている。
 
家屋の損壊や負傷者が出る竜巻が連日のように起きるのは異例のことだが、
今後、さらに増える可能性が高まっている。
 
竜巻の被害に関するテレビのニュースを見ていて、窓ガラスがすべて割れ、
屋根が吹き飛んで無残な姿をさらす自宅の前で、
ご婦人が、「夫とお金をコツコツためて20年前に購入した家が一瞬にしてなくなった」と
茫然としている姿に言葉もなかった。

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日本の住宅に関する法律は、今まで、地震に対しての強度と、台風や通常レベルの突風に対しての
強度の二つの基準を設けていた。
 
しかし、竜巻に耐えられる強度に関する基準は定められていなかった。
 
住宅メーカーも、地震や台風へ対策は行って来たものの、竜巻への対策はまったく講じていなかった。
 
しかし、竜巻はどちらの方向からどのように現れるか予測不可能なので、
本来、強い竜巻に対して耐えられる建物など造りようがない。
 
浴槽が頑丈で比較的安全だとは言うものの、スケールの大きな竜巻は建物ごと巻き上げることさえあり、
浴槽ごと飛ばされることもあり得る。
 
実際、つくば市の竜巻で男子生徒が亡くなったケースでは、住宅が土台から倒され下敷きになった。
 
現在までのところ日本で観測されているF2~F3クラスであれば、
鉄筋コンクリート造りで耐えられるかも知れない。
 
しかし、アメリカのオレゴン州などで起こっているF4~F5クラスが起これば、
鉄筋コンクリートであっても土台ごと引き抜かれてしまう。

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クルマやトラックまでがミサイルのように空中を飛び交い、巻き上げられた飛来物が地上の
ありとあらゆる物を破壊し尽くして行く。
 
竜巻が頻繁に襲うアメリカの中部や東部では、各家庭や公共の建物に地下室や竜巻避難用に造られた
堅固な「地下シェルター」が普及している。
 
竜巻警報が出たら、住民はすばやく地下室やシェルターに避難するのだ。
 
スイスやイスラエルの住宅は、ミサイル攻撃に備えて、ほぼ100%、地下シェルターを備えている。
 
日本でのシェルターの普及率は、わずか、0.02%だと言われる。
 
今後、竜巻の被害が増えるに連れ、郊外の住宅地では、徐々に地下シェルターを設置する家庭が
増えるに違いない。
 
◆「スーパー台風」が日本列島に上陸する日

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「スーパー台風」30号が直撃したフィリピンのレイテ島などの島々は、猛烈な暴風雨と高潮に襲われ、
死者1万人とも言われる筆舌に尽くし難い被害を受けた。
 
台風30号は猛烈な風に加えて、3メートルもある高波をともなって人々を襲った。
 
これは、地震による津波ではなく、「台風津波」である。
 
中心気圧は895ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は65メートル。
 
2013年に発生した台風の中で最も勢力が強く、大気の流れやコースといった要因も重なって、
被害が拡大した。

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「スーパー台風」とは、ハワイにある米軍合同台風警報センターが定める基準で、
最大風速65メートル以上の台風を指す。
 
フィリピンでは、2012年末にも「スーパー台風」が襲来し、約1900人が命を失った。
 
過去、日本を襲った台風の中で最大クラスのものは、5000人以上の死者・行方不明者を出した
1959年の「伊勢湾台風」や1961年の「第2室戸台風」である。
 
現在でも、それを上回る巨大な台風が日本列島に上陸した場合、被害は軽微であるはずがない。
 
これからさらに地球の温暖化が進めば、「スーパー台風」の発生回数が増え、
日本に襲来することも考えられる。
 
 
「異常気象」を超える「パニック気象」の日本に生きる私達は、決してパニックに陥らず、
自然の猛威に自然体で臨まねばならない。
 

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