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戦略・戦術

第211号  「朝会」「朝礼」を情報共有の場に

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 9月末に引越しが完了した楽天本社の新オフィス『楽天クリムゾンハウス』(二子玉川)。ここでは、毎週火曜日、朝8 時から約1 時間、全社員参加の「朝会」が行われている。朝会会場には、2,000名の座席が用意されているほか、ビデオ会議システムで国内外50カ所以上の拠点にライブ中継されており、冒頭の10 分間は社内公用語となっている英語で、会長兼社長の三木谷浩史氏がスピーチをするそうだ。
 
 楽天社員の『行動規範8カ条』には、“朝会こそ情報共有の原点”と掲げており、企業理念を具現化するための重要事項となっている。この朝会は、各企業でよく行っている朝礼のようなものではなく、成功事例の発表を他部署と共有する場としても検討するなど、企業価値を高めるための社員ミーティングの意味合いが濃い。
 
 社員1 万2,000 人を擁し、組織の拡大や人材の多様化が進む楽天では、“世界一のインターネット・サービス企業”を目指す上で、情報共有とスピーディーな意思決定を可能にするベンチャー精神の醸成が欠かせないテーマであり、この朝会をその具現化に役立てていく狙いである。
 
 また、ヤマト運輸では各宅配拠点で毎日朝礼を行い、創業社長の故小倉昌男氏が唱えていた「安全第一、営業第二」という社訓を全員で唱和し、安全最優先の意識の共有を図っているという。
 
 「朝会」「朝礼」というと、どうしてもマンネリとなって形骸化してしまう傾向にあるが、企業理念を社内に浸透させ、社長の意思、事業の方向性、目標、将来像などを定期的に社員に伝えていく場として最適である。目的を明確に持ち、濃く短く継続していくべきで、一方的に社長が話をするだけでなく、社員も巻き込みながら、仕事に対する意欲を高めるコミュニケーションの場として、朝の貴重な時間を有効活用してほしい。
 
 
 
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