商売の原点、ビジネス発展の源は何か。
「時代適応業」という視点を持った企業は永続性が高いといえる。
「持続は力なり」とはよく言われることだが、それを実現するにはしっかりとした経営姿勢と哲学が不可欠である。
「受身的」「下請け的」な発想から脱皮して、「戦略的提案」「積極的」な企業ポリシーを持ち、事業展開して
成長を続けている会社が、名古屋市に本拠地を置く株式会社玉岡設計である。
創業して37年の建築設計の会社だが、今までに手がけた建築設計は1000棟以上、レジャー・アミューズメント施設から
住宅、ホテル、病院、レストラ ン、工場、公共施設まで、業種も異なり、使用目的も多様化している建設設計を幅広く
手がけている。発注者のニーズに対し、企画力とデザイン力を発揮してい るのが同社の特徴でもある。
「常に最高の建築をつくりたい」「後世に残るものをつくりたい」という建築設計のプロフェッショナル集団の誇りを持つ
玉岡設計を率いている玉岡宏光社長(43歳)は、社員に「常に新しい提案のできる会社になれ」
「常に頭をやわらかくしろ」と檄を飛ば している。
なぜ、「提案できる会社になれ」と叫ぶかというと、建築設計という仕事上から受身になりがち。
戦略的な提案ができてこそ仕事も増え、積極的な事 業展開が可能になると確信しているからだ。
「頭をやわらかく」するには情報収集から始めてみることという。
同社が戦略的提案で業界をリードしているのがスーパー銭湯。
11年前、新しいニーズに合うレジャー施設を模索する過程で、付加価値のついた新しい形の銭湯を提案した。
全国のスーパー銭湯の約130箇所の設計を手がけている、陰の立役者である。
スーパー銭湯は明確な定義はないが「銭湯並みの低料金(500円から800円)で
非日常感を味わえる健康ランド並みの温浴施設」と捉えられている。
今注目を集めているスーパー銭湯は全国に約450箇所あるが、
この3~4年のうちに800箇所程度まで開業すると予測されている。
今、玉岡設計が提案しているスーパー銭湯は「和風づくり」が主流で、癒しの場として集客率が高まっている。
ちなみに、元気のあるスーパー銭湯というのは「気軽なもてなしと飽きさせない居心地のよさを提供できているところ」という。
また、玉岡社長は現場のスタッフに「専門バカになるな」「提案できるために情報収集に徹しろ」と教えている。
世の中の動きが激しいだけに、消費者のニーズ、発注者のニーズに敏感にならなければ
戦略的な事業提案はできないというのが玉岡社長の持論である。
社内に「企画開 発室」を設け、全社員が一丸となって、次の新規事業の研究開発に日夜努力し、
一歩先を見た戦略的事業の提案に挑戦を続けている
上妻英夫
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