沖縄は健康長寿の島である。
その沖縄を本拠地にする健康食品メーカーで独特の戦略と商品を持つ企業が、
株式会社なかんだかり(本社・ 沖縄県浦添市)である。
いち早く、沖縄の特産である「エラブウナギ」を生体加工した健康食品の製造・販売を手がけている。
そのほか、ベトナム産の冷凍魚の卸販売、モズクなどの沖縄の海産・農産物の卸販売、
海外からの輸入販売を業務とする堅実な企業である。
同社の目玉商品といえば、エラブウナギ(和名)、つまり、「イラブー」(ウミヘビのことで、こう呼んでいる)
の生体加工に成功した商品づくりである。
従来、燻製を粉末にした製品が多かったが、生体を直接、火を通さずに粉末加工する技術を開発している。
燻製の粉末加工より一段の栄養成分を維持できるというメリットがある。
また、エラブウナギの脂身をエキスにしてカプセル詰めの商品づくりにも成功している。
同社の川添雄一社長(75)は品質第一、本物志向のこだわり、専門家を総動員して納得のいくまで商品づくりに徹している。
古くから滋養強壮、貴重なたんぱく源、希少な漢方薬の食品(中国 は漢方薬の一つ)として、沖縄伝統のイラブーである。
沖縄の深海に生息し、琉球王朝時代からの高級料理の食材、高級珍味としても親しまれている。
その高級食材を手軽に味わえるレトルトにしたのが、商品の一つ「イラブー御膳」(1000円)である。
エラブウナギをじっくり煮込んだスープに大根、極上昆布、豚足が加わった濃厚な味わいは美味そのものである。
沖縄に限らず全国へ販売を展開。グループ会社として有限会社なかんだかり商事を設立、全国展開を進めている。
温厚な性格の川添雄一社長だが、沖縄県人特有の芯の深さを持ち、情熱家である。
工場、営業の担当者にも「時間を守れ」「兼愛交利」(けんあいこうり)の精神で仕事をしろ、と檄を飛ばす。
「時間を守れ」の口ぐせは就業時間、終了時間を守ることが効率的な仕事ができるという考え方からである。
時間は信頼関係きづく基本である、という。
川添社長の口ぐせの「兼愛交利」(けんあいこうり)は中国古代の諸子百家の一人、墨家が説いた言葉である。
兼愛(自他を区別しない無差別の愛)と、交利(相互利益の関係)で、
「平等に愛すると、他に与えた利が己に返ってくること」という意味である。
消費者、従業員、仕事の取引先、仕入先含めて、関わるすべての人に対して、
「兼愛交利」の精神を持って、仕事に励め、という企業人である。
わかりやすくいえば、「お互いが広く 愛して、お互いが利益を得る」という、
相互の理解を大事にする企業精神を持つ元気な企業である。
上妻英夫