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社長の価値を高める 「Theプレジデンシャル・イメージ A to Z」 ~トップのイメージが企業価値を創造する!~ B・・・ボタンの語る存在感―その2

最高の自分を表現する 成功イメージ戦略

さて今回は、前回書ききれなかった「The プレジデンシャル・イメージ A to Z」の、「ボタンの語る存在感」その2です。
小さいながらも、着る人ご自身を律する気持ちが顕著に表れるのがボタンとそれを介する動作。男性のビジネスシーンの装いは、ズボンの前ジッパー以外全て布の合わせをボタンで止める仕組みですからね。その方のビジネスに対する姿勢が見える部分、小さいながらに語るべきことは莫大です。


【ボタンの開閉、その動作に品位が見える】
人の「動作」はその人の生き方の背景を写し出す鏡。生きてきた歴史が長くなればなる程、隠そうと思っても、溢れるかの様に出てきます。「動作」というものは、にわか仕立てではでは身につきません。「見た目で判断される」のは、いい服を着ているとか、高価な物を身につけているというようなことだけではないことが、お分かりいただけるでしょう。それは、知識としては持っていても、実際にできるかどうかの差であり、出来ていなかったとしても、必要を感じ「やろう」と意識して、自分で努力するか否かでも差が出る。さらには、それが自然に身に着いているか否かで、最終的には「格」という、人が印象として抱くイメージの高いレベルな差として現れるのです。動作とは、その人の偽りのない中身が現れるもの。特に物を扱う「動作」では、自分だけではなく対象物への応じ方が無意識に出てしまうため、特に顕著と言えるでしょう。
と、前置きが長くなりましたが、ボタンを介する動作は、日常中の日常の一つ。中でも、エグゼクティブの方々が他者から見られる機会が多く、その様子と具合が、その方の全体的な印象を左右し、仕事以前の基本評価につながってしまうことがあるのが、ジャケットの前ボタンの開閉とその動作。
ジャケットの前ボタンは、二つボタンであれば一番上を、3つボタンであれば、上二つを締めておくのが装いのルール。ジャケットとは、しっかりボタンを締めておく、これが基準。ボタンを締めた形で完成形となります。しかし、たった一つ、ビジネスシーンというオフィシャルな場面でも、ジャケットのボタンを"外しても良い"(外さなくても良い)時があります。それは、椅子に座る時。衣服とは立った姿勢をモデルとして作られています。スーツ着用時にする動きの想定範囲内とはいえ、前ボタンを閉じたまま座っていると、その姿には不要で美しくない皺が正面に出てしまいます。また、体にフットして仕立てられたスーツの場合、ボタンが閉じられたままでは、座る動作さえもがスマートでなくなるからでしょう。椅子に座る時は、相手に気付かれない様、さりげなく片手で前ボタンを外し、立ち上がる時も同様、さっとボタンを掛ける。常にジャケットの前ボタンは掛けているものであり、それが許された場面とはいえ、開けていることを大っぴらにしないことが大前提。この律した姿勢こそが、スーツで装うからこそ漂う、スマートな印象につながるのです。
ただ、この「ボタンをさりげなく外し、掛ける」という動作、簡単に見えて思いのほか難しいのが事実。記者会見対応のトレーニングや、公の場に出る方のコンサルティングを実施する際に必ず実践でお教えするのですが、最初は皆さん動作がぎこちない。しかし、それは仕方がないこと。ぎこちないからと言ってやらない方が無粋です。まずは意識し実践し続けることで、ご自分の動きになっていき、その場面を映像にしたものを御自身で確認したり、専門家から定期的なアドバイスを貰うことで改善のスピードは速くなります。そして場数を踏めば踏むほど洗練されていくのです。まずは実行あるのみです。


【前ボタン全開】
前述で、「スーツの前ボタンは締めるもの」である説明をしましたが、やはりこの世の中、スーツの前ボタン全開の方が少なくありません。雑誌に掲載されるスーツスタイルでも、時に前を全開で、ジャケットがたなびくようなイメージを撮影した物を目にします。忙しく、まさに走り回るようなアクティブさを表現するには、少々荒々しくルールを逸した行動というのも表現のエッセンスとなることがあり得ます。しかしながら、ここで私がお伝えしているのは、社長として、エグゼクティブとしての価値を高める為のイメージ。それに不可欠なのは、どんなに忙しくても余裕と威厳を保ち、洗練を極めて行くこと。本来どんなに現場主義のアクティブな方であったとしても、もはや自分が動きまわるのではなく、人を動かす立場です。それを見た目で分かるように表現することが、あなたの役割に相応しくもあり、任務、そして相手からの信頼を得る為にすべきこと。どんなに忙しくても、急な来客だったとしても、人前に出る際には、しっかりジャケットの前ボタンを掛け、いい状態になっているかを一度鏡で確認し、それから面会しましょう。私の経験上、経営者の方とお目にかかった際、その初対面の印象の中でジャケットのイメージが強く残ることが非常に多くあります。それはポジティブなこともネガティブなことも。ボタンを外したまま登場される方というのはいらっしゃいませんが、きっと一瞬前に急いでジャケットを羽織り、この部屋に入るあのドアの向こうでバタバタっと前ボタンを締められたのでは?と想像させられることが、無きにしも非ず。そんな想像を相手にさせない=相手に不安感を抱かせない余裕ある動作こそが、エグゼクティブそして社長にとって必須のイメージです。どんなに急いでいても、相手にそれを感じさせないこと。まずは一呼吸。ボタンを介した行動はそれを顕著に語ることを、是非ともお忘れなく。


【ボタンの掛け違い】
小さいお子さんでなければ、このようなことはまずもって起こらないでしょうし、未だかつて、ボタンを掛け違えたまま服をきていらっしゃる社長の方にお目にかかったことはありません。多分これからも無いでしょう。しかし、ここでいうところのボタンの掛け違いとは、衣服とそれを止めるボタンに例えられる様に、最初に締め始めたボタンとボタンホールがたった一つずれてしまうだけで、見事な着崩れが起こります。とまっていればいいというわけにいかないのは、服だけではありません。社会におけるコミュニケーションも同様。実際のボタンの掛け違いが起こる第一の原因は、何となくいつも通りのルーティーンでやった為、何も考えていなかった、焦っていたなどなど、注意不足と余裕の無さです。社会におけるコミュニケーション上のボタンの掛け違いも原因は同じ。そう考えると、大丈夫だと分かっている当たり前のことでも常に意識をして行う、気持に余裕を持ち、物事を広い視野で理解するように努める(早合点しない)という、トップの任務を遂行する立場においても、基本であり、非常に重要なことですね。そして気が付いたら全部のボタンをずらして掛けてしまう前に、全て外して正しくかけなおすこと。やり直しは早期であればある程やりやすいというのも、実際のボタン掛けと同じですね。


外見はその人を語り、社会のルールやあり方さえも現れる。たった一つの小さなボタンでも、それを介してその方のバックグラウンドが見えるものです。そして、ほんの少し意識することで、行動が変わり、それが社長としての印象に大きな差を作ります。まずは毎日着用する際のボタンを止めることに、ほんの少し意識を向けてみてください。動作が確実にスマートになり、いつもと何一つ変わらない身につける物だったとしても、社長としての全体像が洗練されていくこと、周りの対応で実感いただけるはずです。

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