企業にはより良い商品と最善のサービスをお客様に提供し、いい会社だと評価してくれるお客様を安定的に増やし、更なる好循環を実現し続けねばならないという宿命があります。
そうした好循環を定着させるためには社員一人ひとりが、それぞれに与えられた役割を確実に遂行して、スムーズで無駄のない仕事の流れを完成させねばなりません。
こうした仕事の流れを考えたとき、社内には機能別にいくつかのグループがあり、仕事の流れを構成する集団としての組織があることが分かります。
製造業であれば(1)良質な材料資材を適正な価格で仕入れる購買の仕事、(2)付加価値の高い商品を過不足なく生産する製造の仕事、(3)より良い商品とサービスをお客様に届ける営業の仕事、そして(4)企業活動に不可欠なお金や人材を確保し、マネージメントする管理部門の仕事があります。
社長からの指示命令がそれぞれの部門の現場に速やかに伝わり、同時に現場からの報告が正しく社長までもどる。そのために組織には職制があり責任等級が存在します。そして各部門には最終責任を負う部長職の仕事があり、次にチームをまとめ課題を遂行する課長職の仕事があります。
会社は従業員から「時間と仕事力」を仕入れ、適材適所に配属し、能率よく活用し、成果に結び付けていますが、組織の要となる管理監督者には二つの重要仕事があります。重要仕事の第一は月曜日の朝8時過ぎから金曜日の夕方まで週40時間以上の、大袈裟に言えば従業員一人ひとりが何よりも大切にしている「人生のゴールデンタイム」の大半を預かる「労働時間の管理責任者(タイムキーパー)」であるということです。
重要仕事の第二は何でしょうか。それは指示した仕事の進行を常にチェックし、助言が必要な時にはTPOに関わる。部下一人ひとりの仕事の出来上がりを審査確認する「職場の仕事品質の管理責任者」としての役割です。
つまり、管理職に求められる二つの重要仕事とは部下の「貴重な労働時間」と「仕事力」を預かって、それを無駄なく活用しながら、段取りよく仕事を推し進め、同時に職場全体の調和と仕事の質を高め、企業業績に貢献すると言うことです。
人が育っていない組織に限って、「自分は部下に干渉せず、自由にやらせる主義だ」などと、都合の良い言葉を並べる上司がいます。しかし部下の仕事品質の向上に関心を示さないことは管理職としての役割責任の放棄に他なりません。このような上司の下では、良い仕事を続け、認めて欲しいと望んでいる部下の向上心は挫かれてしまいます。知らなかったで済む話ではありません。いくら改善指導しても改まらない上司であれば、一刻も早く次の一手を打つべきでしょう。