手の平に乗るほど小さなスピーカーから、部屋を満たすような立体的な音が聞こえたらどうでしょうか?
オーディオ業界に長らく身を置いてきた筆者も驚く画期的な新製品が登場しましたので、今回は製品についてご紹介したいと思います。
■Cear pavé(シーイヤー パヴェ)
ご紹介する製品は、音響技術を専門とする日本企業「シーイヤー株式会社」の「Cear pavé(シーイヤー パヴェ)」です。
「シーイヤー」は技術開発やライセンス、コンサルティングを主とする会社ですが、自社ブランド製品も手掛けています。今回の「pavé」は現在、クラウドファンディング「GREEN」にて、プロジェクトとして支援を募る形で予約購入を受け付けています。(2024年2月末まで。後に一定期間を開けて、一般販売に移行予定。)
GREEN Cear pavé ページ
https://greenfunding.jp/lab/projects/7483
■思わず「あっ!」と声が出る驚きの立体感
Cear pavéは、技術的には「バーチャルサラウンド」と呼ばれる技術を用いる製品です。
そもそも「バーチャルサラウンド」とは、音の頭部伝達関数、簡単に言い換えると、人間が左右の耳に届く音の時間差や、耳介などで回折して生じた音色の変化で音の方向を知覚している原理を逆手に取って「錯覚」させる技術です。
既に「サウンドバー」などと呼ばれる、テレビの前に設置する簡易的なホームシアターオーディオ機器などに採用されていますが、「立体感」は製品によって少なくない違いがあります。
また、立体と感じられるリスニングエリアがスピーカーの中心線上に限られがちで、さらにそのエリアを外れた時の聞こえ方の違和感も副作用として注意すべき点です。
しかし、この点、Cear pavéは非常に優秀。到底、目の前のスピーカーから出ている音とは思えず、部屋の中をキョロキョロと見回してしまうほど。
また、立体と感じられるエリアはやはりスピーカーの中心線上が理想的ですが、比較的エリアが広く、また、そのエリアを外れた場合も聞こえ方に違和感を覚え難いには特筆に値します。
こうした高度なバーチャルサラウンドを実現できたのは、同社独自の高度な音響技術と最先端の半導体技術によるもの。「頭部伝達関数」という原理をベースとしつつも、独自の研究により、音の位置関係がより明瞭に感じられるノウハウを蓄積してアルゴリズムを確立。
さらに、アルゴリズムを実行するプロセッサーとして演算能力が高いものを採用することでより緻密に再現。最終的に音はスピーカーから出ますが、スピーカーのバラつきを抑えるキャリブレーションにまで踏み込んでいるとの事で、他には無い高度な製品と言えます。
筆者はこれまでに様々な製品や技術を体験してきましたが、Cear pavéの立体表現力は他に見当たらず、世界最高峰の技術だと考えています。
■さいごに
Cear pavéは、1台でバーチャルサラウンド音響が楽しめるほか、2台、3台、4台、5台と増やして連携させると、さらに高度なサラウンドサウンドも実現可能との事。
1人で複数台を所有するのはコスト面でも大変ですが、友人や仲間で各人が1台所有し、普段はパーソナルオーディオとして楽しみ、集まった際にはサラウンド化するような使い方は発想として新しく、夢も広がりそうです。
同社のバーチャルサラウンド技術はイヤホンやヘッドホンでも応用が可能とのことで、今後、製品の広がりも楽しみです。