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人間学・古典

第61講 「帝王学その11」
流水の清濁は、その源に在るなり。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】

流れの清濁の原因は、上手の源流にある。



【解説】
「貞観政要」からのものです。掲句は単に自然摂理を述べたものですが、この言葉が発せられた前後の会話の流れから理解すれば、名君太宗の臣下人民にする基本姿勢が伺えます。


ある臣下が、帝太宗に「義臣・佞臣(ネイシン)の識別法」を進言してきました。義臣とは本心でもって君主に仕える臣下をいい、佞臣とは下心をもって仕える臣下です。
その識別法とは、まず「偽りて怒りをもって群臣を試みん」というものです。つまりトップの帝が義臣・佞臣をあぶり出すために「ニセ憤怒を振る舞え!」というものです。その結果、帝の怒りを恐れずに意見を言う者を義臣とし、追従(ツイショウ)の者を侫臣として識別せよと。


この時太宗は、掲句の「流水の清濁は・・・」に続いて、「君は政の源、人庶はなお水の如し。君自ら詐(サ)をなして、臣下の直(チョク)を行わんことを欲するは、これなお源濁りてしかも水の清からんことを望むがごとし」と諭しました。更に「朕、詐道をもって俗に教えるを欲せず。卿の言は善しといえども、朕が取らざるところなり」と、この識別法を言下に退けました。
君主と臣下人民は川の流れのように繋がっているから、上流の君主が間違った生き方をして流れを汚せば、下流の臣下人民に汚れた生き方が伝わる。小手先による義臣・侫臣の識別法は、我輩の基本統治姿勢にそぐわないものと否定したのでした。


現代においても組織の基本運営姿勢は、極めて大切です。最近の政党の小手先の小銭配りのマニフェストをみますと情けなくもなりますが、企業運営においても独自の基本運営方針を持たなければ、胎の据わった長期的な経営ができません。
私の学園にも次のような「学園の基本運営方針」があります。「学園の教育目標」「年度スローガン」などと併せて、毎日の朝礼等で全教職員が唱和確認しています。
『学園は、(1)国民期待の教育目標を掲げ、(2)人々を募集し、(3)目標達成の教育を施し、(4)希望に応じて就職を紹介することにより、広く社会に奉仕貢献をする。
この貢献のために、(5)各責任者は次元の高い組織運営をし、(6)各教職員は学識と品格を鍛え、互いに協力し情熱をもって教育にあたる。
そして貢献で得た利益は、(7)学園の次なる張ってのために留保し投資すると共に、(8)責任と貢献の度合いに応じて各人に配分する』と。


余談ですが、「川の流れ」はしばしば人間学の言葉として用いられます。しかし掲句のような地位の上下関係として使われる場合は少なく、過去・現在・未来という人間社会の世代の流れや時間の経過の例えとして使われるのが一般的です。「我々の現代人の生き方が、未来人の源流となるから、無制限な欲望生活は未来へのツケを残す」というようになります。


いずれにしても、君主の生き方が臣下の手本になるように、社長の生き様が社員の生活手本になります。多大なる業績貢献の社長であっても、限度を超えた欲望享楽の姿は見苦しいものです。「分相応の生活姿勢の手本」を社員や取引先に示したいものです。

 

杉山巌海

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