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- 第25号 親族社長のための全員営業の活用法【問題提起編】
第25回コラムからは、親族社長が全員営業を活用するポイントについてお話します。
創業30年前後ともなれば、社長の代替わりが増えてきますが、創業者にご子息が2名以上いらっしゃる場合、兄弟で事業を継承する場合があります。
本来、社長としての適性がより高い方が継承すればよいのでしょうが、中小企業の多くは、諸般の事情から、兄が社長で、弟が副社長か専務という形が大半です。
会社は、そこに属する人々にとって収入面の生活基盤であり、社会的な存在証明という側面があります。もし、親族同士で共に事に当たるならば、通常の経営者と社員という関係以上に、一蓮托生です。
その関係性が良好であれば、これに勝るものはありません。社内的にも対外的にも、最強の味方を得たようなものです。
切っても切れない親族という関係性からも、全幅の信頼をおいて、経営の一部を任せることができます。また、取締役としてお互いに厳しい諫言や忠告をしても、正論が通る上に関係性もこわれません。その代表例は華僑の経営に垣間見えます。そして、規模の大小や国地域に関係なく、実績を上げています。
しかし、親族だからといって良好な関係性ばかりとは限りません。それどころか、親族≒兄弟で経営に当っている中小企業の多くは、往々にして、大な小なり独特の問題を抱えているものです。
特に、営業現場で社員全員に徹底してほしいことや、営業戦略において社員一丸で事に当る必要がある場合に、その独特の問題が生じがちです。
社長と取締役とで、経営について意見が違ったり、会議で対立したりというのはよくあることですが、こと両者が親族同士であれば、違う様相を呈してくるからです。
一般的に、社長と取締役とで意見の相違があれば、営業現場は、社長の意見を優先すればよいのですが、もし取締役が親族ということになれば、どちらにも配慮して両者に余計な気を遣いつつということになります。
また、社長にしても、意見や立場を無視することもできず、なんとか納得してもらわないことには胸のうちにわだかまりを抱えたままになります。このことは、兄弟どちらもが優秀であればあるほど生じるジレンマです。
親族だからと、〝これくらい言わなくても判るだろう〝、〝俺の立場も理解してくれるだろう“という考えや甘えから、意見対立のまま事を進めるのが常であったり、問題放置が度重なってくると、最悪の場合、内部分裂する可能性さえ出てきます。
もし、頻繁に社長の自分の意見に反発する親族が経営陣にいるとすれば、今のところ大きな問題はないにせよ、客観的に会社経営や営業現場を顧みることをお勧めします。親族という発言力・影響力を持っているゆえにこそ、一度本気でこじれてしまうと、最凶の味方となってしまうからです。
次回は、親族社長が、社員全員をまとめあげて営業力を発揮するために、親族の取締役とどのように連携するのが効果的かのヒントをお伝えします。
・今回のポイント(〆の一言):
親族社長の場合は、社員をまとめるだけでなく、親族の取締役をマネジメントする必要性がある。自然に任せたまま、それが上手くいくのは宝くじに当たるに等しい。