東京・江戸川区に「読書のすすめ」という名の名物書店があります。
辺鄙な場所にあるにも関わらず、この書店目当てに連日、全国から多くの人が訪れます。
人気の理由は、他とは全く異なる本が並んでいること。
何より、今のあなたに必要な、おすすめの本を指南してもらえる、ということです。
店長の清水克衛氏は、経営者・リーダーからも人気が高く、
“日本一のお金持ち”として知られる斎藤一人氏を始め、
文字通りの”本のソムリエ”として信頼を集めてきました。
そんな清水氏が先月21日、講演先にて急逝しました。
享年63歳。
今の世の中になくてはならない人を喪いましたが、
清水氏がまさに命懸けで伝えてきたことが、まとめられた一冊があります。
それが今回紹介する
です。
“逆のものさし”とは世間一般のものさし、モノの見方を外し、自らの肚で考え、常識に流されない確かな「ものさし」を身につけることを意味します。
人が生きていくために大切な本質が、鋭く、厳しく、そして愛情深く綴られています。
たとえば、
「無知であることを自覚するためには、やっぱりいい本と出合わないとダメです。
いい本のなかに書かれていることが分かってくると、読書が本当に面白くなります。
ただ、ベースが必要になるので、多くの方が「難しくて分からない」とおっしゃいます。
確かにそうなのですが、難しい本を読まなければいつまでも成長しません。
本の内容自体が難しいのじゃなく、自分が足りないから、無学だから難しく感じるんです。
だからこそ、本を読んでベースを持つようにしましょう」
「本来、本にはわからないことが書いてあって、それを私たちが
《書いてあることはなにか》と考えながら読んでいたはずなのに、
いつの間にか本を大衆に合わせて、簡単・サルでも分かるようなものにしてしまったのです。
《なぜ》と考える人が少なくなったから、
読書する必要性を感じない人が増えているのではないでしょうか。」
「本はそもそも読者に媚を売らないものでした。
《俺はこういう思想を持っている》ということを本にして出す。
鈴木大拙も夏目数石もまず最初に《俺はこうである》と、バンと世に出しました。
評価というのは出た後にされるものだったのです。
ところが今の出版物というのは、どうやったら売れるか、
それが第一の目的なのでどうしたって簡単になるし、
当たり前のこと、分かりやすいことを書いた本しか出せなくなってきているという
現状がありますね。
本は、そもそもお客さんの機嫌を取るようなものではありません」
「しっかり考えるためにも、答えの書いていないような本を読んで読書をすることが大切です」
といった読書論から、
・人間が生きるために最も大切な3つのこと
・経済の発展、お店の繁盛に必要なNWBの法則
・それに続く、SAL、ABIの法則
など、知っておきたいことが満載。
清水氏の講演を聴いたり、指導を受けることができなくなった今、この本の価値が一層高くなります。まさに”遺産”と呼ぶに値するものです。心して読んでみてください。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『タンティ・アンニ・プリマ』(演奏:DUO FUELDA啼鵬、徳武正和)です。
知る人ぞ知る、バンドネオンとギターのデュオCDの傑作。
達人同士が奏でる豊かな音色、奥行きある演奏は、これぞいぶし銀!
心に染み渡る音楽は、本書の世界観と共通するものを感じます。
本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。































