menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第21回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ボーズ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

<社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ボーズ>

勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。

なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。

会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。

経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。

そこで18回連載を終わり、今回からは全3回で“イノベーション(革新)”をキーワードに顧客の支持を獲得している会社を事例に、経営理念により現場士気を向上させ、それを売り上げに結びつける仕組みを、解説いたします。

 

~“好奇心”マインドが、消費者目線でイノベーションを起こす!~

推定売上高は約3千億円、従業員約1万人。非上場を貫き、株主はボーズ博士ら約20人のみ。

日本へは77年に本格進出し、日本では小型ステレオ「ウエーブミュージックシステム」の販売に注力。
株式上場せず、短期的な利益を追わない。もうけは研究開発に充て、株主配当はゼロ――。

ボーズ(Bose Corporation)という会社は、経営理念を軸にこのようにブレない経営をすることで、顧客の支持を得ている音響機器メーカーです。

同社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で電子工学の教授を務めるアマー・G・ボーズ博士により、1964年に設立されました。

そのきっかけは、ボーズ博士がMITの大学院生であった1950年代に新しいステレオを購入したにもかかわらず、その素晴らしいスペックを誇るスピーカーが実際の演奏とは程遠い音しか再現できないことに愕然とし、研究者としての好奇心こだわりとなり、単品スピーカーを開発するに至ったからでした。

今ボーズ博士が世に送り出した単品スピーカー(特許)のシェアは米15%、欧州10%といずれも首位(調査会社調べ)となっているのですが、多くの会社が単品スピーカーのような特許を保有しながらも有効活用できず、なぜボーズだけがイノベーションを通して、その特許を商品化でき、顧客の支持を得ることができたのでしょうか?

その秘密は、博士自身が研究者ではなく、消費者の目線でモノを見て、その結果ことを提供することに成功したからなのです。

~今までにないことを提供すればイノベーションが商品化される~

ボーズ社が一躍有名になったのは<ノイズキャンセリング機能>が付いているヘッドフォンです。

この機能の研究開発を始めたのは78年。

きっかけは、創業者のアマー・ボーズ博士が欧州の出張帰りに乗った飛行機内で、当時珍らしかったチューブ式ヘッドホンが、エンジン音にかき消されて音楽がよく聞こえず、音量を上げると音が割れてしまった体験だったのです。

ボーズ博士は、本社に戻るとヘッドホン開発の専門グループを立ち上げ、成果は86年、無給油・無着陸の地球一周飛行「ボイジヤー」の飛行士がつけるヘッドホンに試作品と採用された時で、その仕組みとは、耳当てをつけただけでは騒音は消えない、音を伝える空気の振動を感知し、それとは逆の音波を出すという、これまで誰も考えつかなかった方法でした。

同社はこの独自技術を一般用ヘッドホンにも応用した結果、<ノイズキャンセリング機能>が一般ユーザーを対象とする商品となり、この商品が一般ユーザーが抱く悩み(機内の騒音)を解決し、それが今までにないこと(機内の静けさ)の提供となり、大ヒットにつながりました。

~経営理念がなければイノベーションは活かされない!!~

ボーズ社の経営理念は

「Better Product thorough Research」

(研究活動を通じてよりよい製品を顧客に提供すること)   です。

そして、同社は、この経営理念を軸に創業者であるボーズ博士が説く

「社員を重視、利益は研究に」を常に現場でも最優先しています。

ボーズ社がオンリーワンである、その強さは、

創業者ボーズ博士自身が率先垂範したイノベーションにありますが、

その目的が、経営理念の実現でありながらも、

その経営方針として、まず社員を重視した施策をとったことです。

 

企業が生き残り、勝ち残るために、これからイノベーションが不可欠です。

が、イノベーションが活きてくるには、イノベーションを通して、

企業で働く全ての人が経営理念の実現を目的とし、

現場が日々真摯な姿勢で実践することで、

現場ベクトル(向かうべき方向)が一つになることなのです。

 

ボーズ社は、イノベーションを通じて、株主重視の「米国流経営」を実践するのではなく、社員重視の「米国流経営」を実践することで、掲げる経営理念を実現しています。

つまり、

ボーズ社は、日本企業が経営理念を軸に、今後イノベーションを戦略ツールとすることで、ブレない経営判断をし、生き残るため(顧客に選ばれるため)に「何をすべきか?」、その経営戦略をも示してくれているのです。

 

ボーズ社HP

https://www.bose.co.jp/

 

弊社コラムボーズの解説は

http://www.hh-consul.jp/column.cfm?ID=17

第20回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ディズニー前のページ

第22回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:アイリスオーヤマ次のページ

関連記事

  1. 第49回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:リーバイス

  2. 第46回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ブルックスブラザーズ

  3. 第18回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:チャールズ&キース

最新の経営コラム

  1. 【昭和の大経営者】ソニー創業者・井深大の肉声

  2. 「生成AIを経営にどう活かすか」池田朋弘氏

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 人事・労務

    第40話 営業手当の支給根拠を正しく理解する
  2. 戦略・戦術

    第4回 香港の位置づけ
  3. マネジメント

    故事成語に学ぶ(31) 法を棄てて私を用いれば、すなわち上下わかたれず
  4. マネジメント

    第22回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:アイリスオーヤマ
  5. マネジメント

    万物流転する世を生き抜く(3) ハンニバル、アルプスを越える
keyboard_arrow_up