昨年9月の米国名門証券会社「リーマンブラザーズ」破綻以来、世界同時株安と世界同時不況が押し寄せ、
資産運用も企業経営も多大な影響を被っています。
世界同時不況の出口はいまだに見えませんが、世界の金融市場では変化の兆しも現れています。
6月12日現在、上海、インド、ブラジルの株価指数はリーマンショック直前の水準を上回っています。
こうした目覚しい回復ではないにしても、東京市場も3月10日のバブル後最安値7,054円から10,000円台に
40%ほど回復してきました。しかし、こうした回復期こそ、個別銘柄の将来性や企業業績の優劣が明確になり、
かえって不況のどん底期よりも投資成果の明暗がはっきりしてきます。
万が一、上場株式等の運用成績が振るわず、将来性も乏しい銘柄があったとしたら、この時期どうすべきでしょうか。
一概にこうとは言えませんが、塩漬けを避けて資金効率を上げるために損切りする場合には、同一年中の上場株式等
の売却益との通算のほか、次のような対応があります。
1.上場株式等の配当金と売却損の損益通算
平成21年1月分から、従来認められなかった上場株式等の配当金(配当所得)と売却損(譲渡所得)の損益通算が
可能になりました。従って、翌年確定申告すれば、配当金から源泉徴収された所得税と住民税10%が還付されます。
2.自社株の売却益と通算して事業承継を前進させる
それよりも企業経営者でしたら、この際ご自分が所有する自社株を後継者に売却して、その売却益と上場株の売却損の
通算をすれば、投資損失を事業承継に活かすことができます。自社株は単純に売却すると売却益の20%の所得税・
住民税が課税されますが、損益通算によって無税になれば、「禍を転じて福と成す」とも考えられるのではないでしょうか。
(注)上場株式等とは、上場株式のほか公募株式投信、ETF(株価指数連動上場株式投信)、J-REAT(上場不動産投信)を含みます。
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