日本の株価収益率は、バブル当時に約80倍と期待先行で買われた時期もあり、株式投資はキャピタルゲインが目的だった。その上、日本独自の慣行(株式持合い)により安定株主を確保できたので、配当は低利回りに。個人株主も配当より投資先の成長に期待した。
ところが、銀行の自己資本規制強化後、リスク資産の株式は厄介物となり株式持合いが崩壊。その受け皿は外国人や純投資が目的の個人投資家へと変化し、株主重視の利益配分を要求。企業側も個人株主という安定株主の確保を狙った結果、双方の利害が一致して配当利回りが上昇してきた。
2012年8月現在、東証1部上場企業の平均配当利回りは2%超。高配当企業ランキング上位の配当利回りは4%から5%程度、また、不動産投資信託では約6%程度の分配金利回りがある。バブル崩壊後、配当利回りに関しては株主還元強化の20年となった。
価格変動リスクのある高配当株も安定的利回りがあれば、配当というインカムゲインで投資額の一定割合を回収できる。例えば税引後4%配当が10年間続けば、投資額の40%は配当金で回収でき、売却時のキャピタルロスを埋合せる。勿論、減配リスクの考慮は必要だが、配当政策から「配当性向30%」などリスクの大きさが分かれば、投資判断の条件になる。
高配当株は、成熟産業(石油、医薬品、商社、通信など)に多く、成長期待のネット関連やベンチャー企業は、設備投資等を優先するので配当は抑制される。高配当の欧米優良企業は、配当重視の資産運用対象として昔から注目されている。高配当の常連だった電力業界は、原発停止等による業績悪化で無配や減配も発生。何が起きるか予測不可能な今日、いくら高配当でも集中投資は避けたい。
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