キーワード
第42回(高級業態をつくる「アグリス成城」)
|
|
|
|
正面の建物が、クラブハウス。小田急線「成城学園前」駅西口を出ると、目の前にある |
なす、キュウリ、トマト、枝豆、カボチャ…。多品種栽培している会員が多い。種苗は有料だが、主要な作物の種苗はその場で揃えられる
|
|
|
|
|
イギリス製の高級農具を無料で借りられる。手ぶらで来て、農作業ができるわけだ
|
クラブハウス内。2階のラウンジでは景色を楽しみながらくつろげる。シャワールームもあり、農作業後の汗を流せる。セミナーもこちらで開かれる
|
|
|
「収 穫したての野菜を食べたい」「スーパーで売っている野菜の安全性が気になる」
「定年後の余暇を有意義に使いたい」…。
そんな理由から、趣味で農業を始める人が増えてきた。
ベランダで小さな野菜を育てる人もいれば、市民農園を借りて本格的に農業に取り組む人も少なくない。
そんなニーズの高まりから、市民農園も進化している。
単に畑があるだけでなく、さまざまな設備やサービスを整えた農園も出てきた。
その最たるものが、小田急電鉄が2007年5月に始めた会員制の貸菜園「アグリス成城」だ。
この菜園の最大のセールスポイントは、「駅前にあること」。
敷地は、小田急「成城学園前」駅のほぼ真上。
ここに6m2の貸菜園が300区画用意されている。
駅前なので、何かのついでに立ち寄りやすいというわけだ。
小田急電鉄がこの貸菜園を始めたきっかけは、成城学園前駅の工事で、ホームを地下に移設したこと。
線路の上部が空いたことから、このスペースの使い道を模索していた。
「『緑化してほしい』という近隣住民の方の要望を元に、さまざまな案を検討した結果、
行き着いたのが、『会員制の家庭菜園』だったわけです」と支配人の森口智康さんは話す。
アグリス成城のセールスポイントは、立地の良さだけではない。
野菜づくりを気軽に楽しめるサービスが充実していることだ。
畑には、常にスタッフが常駐しており、分からないことを親切に教えてくれる。
農具はすべて無料で使えるので、いちいち持っていく必要はない。
基礎から学びたい人には、座学と実習がセットになったセミナーも有料で受けられる。
時には、旅行や仕事などで長期間畑に出られない時もあるだろう。
その時は「栽培代行サービス」が1回1575円から利用できる。
このサービスを使えば、せっかく育てた野菜を台無しにしなくて済むわけだ。
また、クラブハウスにはシャワールームやラウンジも用意されている。
「農作業後にさっぱり汗を流して出勤」「冷たいビールでのどを潤す」といった楽しみ方もできる。
アグリス成城の利用料は、通常の「ガーデン会員」で、
年間13万6500円(年会費3万1500円、ガーデン利用料10万5000円)。
年20回の講義を受けながら農作業をしていく「スタディコース」を受講すると、さらに10万5000円かかる。
年間数千円で借りられる市民農園と比べると割高だ。
しかし、利便性やサービスの良さが支持されたのか、オープンから3ヶ月間で、
3分の1にあたる約100区画が埋まった。
「会員になられたお客様のほとんどが、40代以上の未経験者の方です。
成城という土地柄、『セレブ菜園』というように見られがちですが、
実際、お客様は苦労して野菜をつくられています」
今後は、会員同士の交流イベントやセミナーの開催などで、
既存の会員の満足度を高めていきたいという。
自動車やバイクの修理、日曜大工、野球やフットサルといった屋外スポーツ…。
高級業態をつくれば、多くの顧客を獲得できそうなネタは、
農作業以外にもありそうだ。
(カデナクリエイト/杉山直隆)
◆社長の繁盛トレンドデータ◆
アグリス成城
東京都世田谷区成城5-1-1
TEL:03-3482-0831
最寄り駅:小田急線「成城学園前」駅西口より徒歩1分
URL:http://www.agris-seijo.jp/
|