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人事・労務

第101話 有効求人倍率は1.52倍となりました

「賃金の誤解」

賃金管理研究所 所長 弥富拓海

http://www.chingin.jp


 厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。

 2017年7月の数値をみると、世の中にどれくらい求人(仕事)があって、それにどれくらい応募(仕事をしたい人)があったかを現わす有効求人倍率は1.52倍となりました。景気回復による求人増を受けての上昇であり、すべての都道府県で1.0倍を越えました。これはバブル期の1990年7月の1.46倍を超える高水準となっています。

 2017年7月の新規求人数の前年同月比は3.5%増となりました。これを産業別にみると、製造業(10.5%増)、運輸業,郵便業(9.2%増)、 宿泊業,飲食サービス業(4.7%増)、建設業(3.7%増)、サービス業(他に分類されないもの)(3.7%増)が増加となっています。

 加えて総務省統計局の労働力調査では、2017年7月の失業率は2.8%まで低下しました。勤務条件で折り合わず就業に至らない「ミスマッチ」失業率は3%程が常だとすれば、現状は働く意思のある人は働ける「完全雇用」状態にあると言えます。景気は悪くないどころか絶好調の筈なのですが、現実には大きな問題が潜んでいます。

 それは15歳以上65歳未満の生産年齢人口が年ごとに減少し、一方65歳以上の高齢者人口が加速度的に増えていく現実です。好景気で求人は増えても、生産年齢人口は年ごとに減少していくのですから、求人倍率は決まったように上昇を続けるのも当然でしょう。それでも企業には増収増益、生産性の維持向上という宿命があります。そのための人材を確保し維持し続けることは人事の重大な課題です。65歳を超えるシニア層に加えて、今は仕事をしていない女性にも無理なく働ける場を提供することで、様々な人材が集い、それぞれの仕事力と個性が活かされる。人にやさしい企業体制が整ってこそ、好循環が実現します。

 多くの企業が将来の人手不足を見越し、有期の非正規社員雇用から、期間の定めなく雇える正規社員の雇用に軸足を移しています。2017年6月と7月の正社員の求人倍率は1.01倍となり、6月の新規求人数は前年同月より8.7%増え、堅調に推移しています。

 多くの企業にとって、社員の高齢化と若年層を中心とした人手不足は深刻です。正社員の募集に加えて、非正規社員からの人材登用も有効な方法です。さらに自己都合等で退職した元社員の再受け入れも貴重な採用戦略です。なぜなら会社の理念や風土を理解し、必要な知識を身に着けている経験者、つまり即戦力採用だからです。手間と時間とお金のかかる中途採用者の一般募集より、結果を含めてメリットは大でしょう。そのためには当人の退職時にソフトに再入社の可能性を打診し、必要な時の相談窓口等について話し合っておくとよいでしょう。

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