企業として途切れることのない安定成長を実現するためには、年2回、社員一人ひとりの勤務成績を正しく評価し、その成績評価の結果を制度として賞与配分に、そして実力昇給に反映させることが何よりも重要です。つまり、すべての社員に公正に評価され、報われることを実感し続けてもらわなければならないのです。
賃金管理研究所が提唱する、成績評価制度における評価の対象はその従業員(人物や能力)そのものではなく、「担当している仕事のでき栄え=Good-Job」言い換えれば「過去6ヵ月間の仕事の成果とプロセス」の確認であり判断です。この判断の納得性を高めるためには解りやすい評価基準が必要です。
同時に成績の評価者は「部下の仕事の質と量」を客観的に判断できるワンマンワンボス、つまり直属の上司(課長)ただひとりでなければ公平性は保てません。
従業員の勤務成績は、公にされた成績評価基準書に基づいて夏季と年末の賞与支給に先駆けて行うことになっています。一般職用の基準書の評価要素を示せば、中身は上司が判断できる5つの仕事に関わる評価要素に集約することができます。
1)服務:服務とは仕事への取り組みの基本であり、わが社の社員として
身につけておくべき躾ともいえる項目です
2)受命・段取:段取り8分の諺どおり、段取りの良し悪しは仕事の成果、
出来・不出来を左右する重要項目です
3)就業活動:目標を定め努力したか、所定内8時間を核として仕事ぶりは
充実していたかの確認です
4)業務能率:仕事は質を落とすことなくすばやく処理していたか、資材、
経費、必要以上の残業等、時間の無駄が多くはなかったかの判断です
5)成果:成果は予定あるいは計画と比べて質・量ともに良好であったか、
併せて仕事の習熟ぶりを評価します
直接上司は責任等級ごとに部下全員を、上記5つの評価要素(それぞれ4つの着眼点)を自己の判断で点数評価し、成績評価報告書を作成し上司(部長)に報告します。
より科学的で、緻密な評価基準が必要といった主張もありますが、成績評価においては、直属上司には判断し難い能力考課、情意考課といった属人的な項目や複雑な評価手法の羅列であってはならないのです。
成績評価報告書を受け取った間接上司(部長)は自身が束ねる課相互間の成績の調整を投影法で進め、成績調整報告書を完成させます。そして最後に人事当局は調整者から提出された成績調整報告書の点数による順位と点数間隔を確認し、責任等級ごとに成績評語(SABCD)を決めることになっています。