menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第14話 昇給のない賃金制度はできるのか

「賃金の誤解」

 事業承継後間もない社長が真顔で問いかけてこられました。「毎年、人件費がどれほど増えるのか、賃上げの時期になると気が重くなります。昇給をしないで済むような給料の決め方はないものでしょうか」。
 
 単純作業職の採用であれば、時給と出勤日数で、給与は決められます。このような給料の払い方を日給月給と言います。職種限定、人事異動のないパート、アルバイトや臨時従業員の給料の払い方がこれに相当します。
 
 このような雇用の場合、期間を定めた労働契約が雇い入れの条件です。給料も、働いた分だけ毎月精算すればよく、夏冬の賞与も、定めていなければ不要です。昇給も退職金もいりませんし、勤務成績が不良であれば予告手当は必要ですが解雇もできます。以上が一般的に言う有期の契約社員であり、正規従業員(定年退職の日まで雇用期間の定めをしない)とは区別して扱われます。
 
 有期の契約社員の給料は日給月給ですが、正規従業員(以後正社員と呼ぶ)の場合はどうでしょうか。就労日数が月によって違っても定額の所定内給与が毎月支払われます。遅刻、早退、欠勤があればその分控除し、残業分が加算される条件付の月給制です。
 
 もしも、昇給をしないで済む給料に社長が執着し、仕事の質が高めていくことが求められる正社員の給与を、安い金額で固定してしまったらどうなるでしょうか。
 
 凡庸で転職など考えられない社員であれば、しぶしぶ納得するかも知れません。しかし、より多くの仕事を経験して、永く企業に貢献できる仕事力を発揮する質の高い社員にとっては、我慢できる話ではありません。
 
 正社員にとって、年ごとの評価にふさわしい定期昇給が制度として保証されていることが必要最低限の条件です。社員も、自分の将来が描けるからこそ、安心して仕事に専念できるのです。お客様重視、能率の向上も、企業と社員の良好な信頼関係があってこそです。
 
 社員への昇給なくして、企業の発展などありえません。社長は賃金の誤解から目を覚まし、やる気ある社員たちが報われたと実感できる賃金制度をぜひ構築してください。

 

第13話 社長の報酬・賞与の実態を調査 (2010年度版)前のページ

第15話 ヨソの会社は社長の報酬をどう決めているか次のページ

関連記事

  1. 第43話 上司の熱血指導で新人が辞めてしまった

  2. 第1話 わが社は特殊・特別だ

  3. 第40話 営業手当の支給根拠を正しく理解する

最新の経営コラム

  1. 第184回 長野土鍋ラーメンたけさん小布施店 @小布施 ~世界に躍進する「ビーガン味噌ラーメン」

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年5月8日号)

  3. 第328回【社長のリーダーシップ編⑤】リーダーに必要な4つの要素④「変化への対応能力」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 社長業

    Vol.73 「悪条件は好条件」という考え方
  2. 健康

    第97号 素人の強さ
  3. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(3)友情に先んじるものあり・明治6年の政変
  4. マネジメント

    第十四話 メッセージが伝わる仕事をしよう(ラストリゾート)
  5. 新技術・商品

    第81回 店舗も「プロダクトアウト」だ!
keyboard_arrow_up