●自分の「ニックネーム」を用意する
外国人が片言の日本語を使うのをみてほほえましいと思った事はありませんか? それが「私の名前はxxxです」「ありがとうございます」といった簡単な言葉だけであっても相手に好印象をもつことは間違いありません。
海外での商談において、経営者は相手に人柄を伝えるという事が重要な役割になります。海外企業は御社の日本での評判や実績を知らないのが当然です。社長の人柄は御社の信頼性を測る大きな要素になります。しかし自己紹介のときに通訳や翻訳機に頼りっぱなしでは人柄が伝わりにくいです。簡単な自己紹介は英語でできるようになっておきましょう。
私なら、 Hello, my name is Yutaka Osawa.
ところが「日本語の名前」は相手にとっては意味のない音になります。私の名前はYutakaですが、「覚えにくい」と米国人に文句?を言われたことがあります。こちらも外国人に「名前を正確に発音しろ!」と言われても困ります。相手が呼びやすい簡単なニックネームを用意しておきましょう。
ミチオならミッチーなど深く考えずにつけましょう。ちなみに若い台湾人は全員が英語のニックネームをもっています。それも本名とは全く関係のないよくある英語の名前だったりします。マイクとかですね(笑)。
こんな形で自己紹介を始めましょう。
・Hello, my name is Teruo Sato.
(またはI am Teruo Sato.) Please call me Terry.
私は佐藤テルオです。私のことはテリーと呼んでください
●自己紹介では「大雑把」に印象づける
続いて自分と会社の紹介です。
・I am the president of SATO DENSHI, an electronic parts manufacturer.
佐藤電子という電子部品メーカーの社長です
・The company was established in 1946 by my grandfather and now has 200 employees.
We have offices not only in Japan but also in Vietnam.
会社は1946年に祖父が設立しました。今は200人の従業員がいます。日本のみならずベトナムにも拠点を持っています。
・We supply electronic components to Toyota.
我々はトヨタに電子部品を供給しています。
最初から専門的な説明をする必要はありません。まずは大雑把にこちらの会社・人格が伝わればよいのです。細かい業務の説明は後にしましょう。
時々、「会社は日本の栃木県xx市にあります」といった説明される事があります。しかし外国人にとって地名等の固有名詞はおぼえにくいものです。もし場所を示したいならよく知られた地名を使いましょう。
・ Our headquarters is located about a two-hour drive west of Tokyo.
我々の本社は東京から西に車で2時間程の場所にあります
・ That is a place where you can see a wonderful view of Mt. Fuji.
そこは富士山の素晴らしい景色がみられる場所です
商談の雰囲気によって趣味も入れましょう。自分と相手の国とのかかわりを入れればさらに親しみもわきます。
・My hobby is traveling abroad.
私の趣味は海外旅行です。
・I really want to go to Thailand, but unfortunately I have never had that opportunity.
タイもぜひ行きたいのですが、残念ながら今までそのチャンスがなかったです。
ちなみに読書、散歩、音楽鑑賞などの軽い時間つぶし的な趣味は、hobby ではなくpastime という言葉をよく使います。hobbyは積極的、本格的に楽しむものです。
・My pastime is Karaoke. Let's go to karaoke together when you come to Japan.
私の趣味はカラオケです。日本にいらっしゃる時に一緒にカラオケ行きましょう。
自己紹介と会社紹介を兼ねた簡単な説明のイメージは掴めましたか?こんな内容を中心に1分弱の自己紹介の英語を作りましょう。今はグーグル翻訳等も進化しているので、まず日本語案をグーグルに翻訳させ、その後で英語のできる方にチェックしてもらいましょう。一度作ってしまえば、商談以外、海外旅行や飛行機での隣の人等との会話でも使えます。
社長の英語は、商談相手に信頼を得るのが第一の目的です。細かい商談は通訳を介するにしても自己紹介は自分でしましょう。今の時代は相手がアジア人である事も多いので、ネイティブのような流暢な英語でなくてもよいです。ゆっくり、はっきりと、誠実さがつたわる英語を話しましょう。
◎今月の+1フレーズ
・We serve more than 1,000 (one thousand) clients in Japan.
日本で1000社(人)以上の顧客がいます。
・Our company`s advanced sensor technology contributes to the development of the auto industry.
弊社は最先端のセンサー技術で自動車業界の発展に寄与しています。
※contribute to ~ ~に寄与する
・We have a Tokyo office less than a 10-minute walk from Tokyo Tower.
東京タワーから歩いて10分以内に東京事務所があります。
・I like jogging. I run for 30 minutes every morning.
ジョギングが好きです。毎朝30分走ります。
大澤 裕(おおさわゆたか)
ピンポイント・マーケティング・ジャパン社長。88年慶応義塾大学経済学部卒業後、日本企業の米国進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学経営学修士課程において特許製品の販路開拓方法を学ぶ。MBA取得後、家業の建築資材会社の特許製品の販売網を構築すべく米国子会社を設立。日本企業の海外販路開拓の支援をはじめ、00年に独立。販売対象は産業材から消費財まで多岐にわたる。
著書「海外出張/カタログ/ウェブサイト/展示会で売れる英語」他。
※本コラムは2020年5月号「ビジネス見聞録」に掲載したものです。