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ビジネス見聞録

講師インタビュー「安定経営のすすめ方」ビジネスコンサルティング・ジャパン 代表取締役社長 伊藤敏克氏

ビジネス見聞録 経営ニュース

現代のビジネス環境は急激に変化しています。いかなる状況にも対応し、繁栄し続けられる会社をつくるか。経営コンサルタント・伊藤敏克氏に、この激変期に、中小オーナー社長が実践すべき「安定経営」についてお聞きしました。

■伊藤敏克 (いとう としかつ)氏/ビジネスコンサルティング・ジャパン 代表取締役社長
 中堅・中小企業の経営の失敗と成功を知り尽くす事業再建のプロ。父が経営する事業の業界最大手に入社。在籍して10年、突如の不祥事により信用を失墜し企業解散に遭遇。大企業であってもあっけなく会社がなくなる現実を目の当たりにする。その後、中小企業の経営に参画。そこで事業の傍ら企業再建に取り組む社長と邂逅。師匠と仰ぎ、ともに不振企業の事業再編や再建に奮闘するなかで潰さない経営を会得する。経営指導に活かすため会計学、民法、税法全般も習得。
 独立後、ビジネスコンサルティング・ジャパンを設立し業種、業界を問わず、黒字化や成長の踊り場に悩む中堅・中小企業の社長や後継社長を指導。業績不振の企業を営業利益20倍、現金残高60倍、キャッシュフロー1億円の改善など経営と数字を改善させる豊富な実績を誇る。著書に「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」他。

 

安定経営とは何でしょうか?中小オーナー社長が安定経営を実践するメリットを教えてください。

 安定経営とは、企業の永続性が確立された状態のことです。詳しく言えば、外部環境の変化や突発的なリスクに直面しても大きく揺らぐことなく、着実に企業がその価値を発揮し続けられる経営です。安定経営を実践すると、繁栄の基盤が盤石になります。

 特に中小オーナー社長にとって会社経営は、人生そのものです。経営が安定していれば、人生も豊かで充実したものになります。しかし、経営が行き詰まれば、社長自身の心身や家族関係、財産面にも大きな影響が及びます。

 このように、安定経営の実践は、単なる成功の手段ではなく、社長の生き方そのものを形づくる営みです。さらに、社長自身だけではなく、社員、取引先や社会…すべての関係者が幸せになります。安定経営の実践が自他の幸せの源泉になるわけですから、これほど尊いことはないと思います。

 

実際に安定経営を実践した会社は、どんな成果を出していますか?

 安定経営を実践している会社は、健全な成長を遂げています。一年後に運転資金が尽きるような赤字会社であっても黒字経営に転換します。もともと黒字経営の会社は、売上が2倍、3倍、利益と現金が 倍、 倍という会社も珍しくありません。

 会社経営の一大イベントと言える事業承継(社長交代)を成功させて、先代を超える経営成績を出している会社もあります。成果に伸び悩んだ時に、基本に立ち返るきっかけ、あるいは、飛躍のきっかけになるのも本講話のおすすめポイントです。

 

安定経営には、「人材」も欠かせないと思いますが、社長を支える右腕・幹部の育て方を教えてください。

 まず、幹部候補の必須条件は二つあります。ひとつは、人間性や人間力といった、周囲の人々を感動させ、信頼させる「ヒューマンスキル」です。もう一つは「人望とモチベーション」です。

 この二つに長けている社員を見つけたら、積極的に責任が伴う役割やポストを与えて、早目に幹部候補として育てることが大事です。

 幹部が育つほど、社長のワンオペ経営が軽減されるので、社長は、ますます社長業に集中でき、幹部は、社長の補佐と社員の育成に力を発揮できます。結果的に組織と共に会社が成長し、安定経営がさらに盤石になります。
 
 

若手社員を育てるポイントはありますか?

 「どう育ちたいか」を社員本人に決めさせることが重要です。その上で、目標を共有しながら個々の特性や能力に合わせた育成を行うことが有効です。

 好業績をキープしている会社の社員は、主体性があり、挑戦を楽しむ姿勢がありますが、これは個々の特性を尊重した育成方針の成果です。

 そして、最も大事なことは、社長や幹部層が率先して様々な挑戦を楽しむことです。そうした姿勢が若手の気持ちを動かします。トップが良き背中を見せることがを心掛けていただきたいです。


「安定経営」はどんな社長におすすめでしょうか?

 売上や利益が停滞している、現金が貯まらない、若手や幹部が育たない、時代の変化についていけるか不安…という経営課題・悩みを抱える社長にはもちろんおすすめですが、特に、さほどの課題がなく、経営が安定している社長こそ、聞いて欲しいです。

 経営が安定している本当の理由を理論的に把握できるので、さらなる経営基盤の強化、今後のリスクヘッジや、事業承継の際にもとても役立ちます。

 さらに、採用力や、数字の分析と活用に課題を感じている社長にもおすすめします。どの課題も安定経営を阻むリスクになるので、本講話をご参考に、早期に課題を解消し、安定経営をより一層、強化してください。


最後に、「安定経営のすすめ方」を聞かれる社長へメッセージをお願いします。

 私のコンサルティングは社長業全体をサポートしています。昨今のコンサル業界は仕事が細分化しているのが主流なので珍しいタイプかと思いますが、その理由は、「会社は社長次第」ということを、自分のキャリアから深く実感しているからです。

 キャリアは20年弱になり、前半10年は企業再生の仕事ばかり、後半10年は好不調問わず、流行に左右されない、強く美しい会社をつくることに命を懸けています。

 本講話のベースにあるのは約20年にわたる企業経営に関わった経験、なかでも企業再生の実務で培った原体験が土台になっています。講話では、社長業の肝、企業の盛衰を分かつ分岐点、安定経営をキープする方法など、どんな時代にも通用する経営の原理原則のほか、最新の事例も紹介させていただきました。皆さまの会社の100年先の安定経営に繋がればとても嬉しく思います。

 

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