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社員教育・営業

第147回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方70「言葉を添える」

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
 

 前回は、「在宅業務時の電話応対の注意点」についてお話しました。今回は、「言葉を添える」についてお話します。

 突然で恐縮ですが、皆さんは日本で初めて宇宙に行った女性宇宙飛行士向井千秋さんをご存じと思います。私は千秋さんがお母様におっしゃった「相手に喜んでもらうのは簡単、自分が相手にしてもらいたいと思うことをすればいい。」と言う言葉が、どのような状況でも誰にでも当てはまるので好きです。時々自分で対応を迷うとき思い出す言葉です。これは電話応対にも通じます。
 
・私が皆さんの会社に電話をしたとします。私は皆さんの会社の方に早く電話を取って欲しいと思います。ですから皆さんの会社の方は電話が鳴ったら速やかに取ると、相手を思っての行動になり、印象の良い会社と思われます。言葉を発する前から印象を良くすることが出来ます。気持ちがあっても万一ベルが5回鳴っても出られなかったら、「大変お待たせをいたしました」を第一声に添えます。
 
・私が「○○会社の松尾です」と名乗ったとします。松尾と名乗っているのですから「○○会社の松尾様でいらっしゃいますね」という言葉をしっかり添えます。「松尾様でございますね」は文法的に間違っています。
それから「いつもお世話になっております」を添えます。初めてのお客様と分かれば、「お電話ありがとうございます」を、久しぶりに松尾が電話をしてきたと分かったら「ご無沙汰いたしております、松尾様。半年ぶりくらいでしょうかなどを添えます。
・松尾が、何度か商品の注文しているお客様とわかれば「松尾様、いつもご注文をありがとうございます」を続けます。

・取次の電話であれば「恐れ入りますが、○○は只今離席をいたしております。〇時には帰社する予定ですがいかがいたしましょうか」と相手の意向をお聞きになってください。相手に軸足を置いていることを伝えられます。また突然事実をお話するのではなく、クッション言葉(例えば、「恐れ入ります」)から始めると鼓膜に柔らかく響きます。
・クッション言葉は、皆さんが思う以上に効果を発揮しますから、使えるようにしましょう。
➀依頼するとき………「お手数をおかけしますが」・「お忙しいところ恐縮ですが」・「ご都合がよろしければ」など。
➁断るとき・詫びるとき………「あいにくではございますが」・「誠に心苦しいのですが」・「申し上げにくいことではございますが」など。
③尋ねるとき………「お尋ねしたいことがあるのですが」・「松尾様、お差し支えなければ」・「つかぬことをお聞きしますが」など。

 クッション言葉については、クッション言葉のバリエーションを持って、お使いください。お若い方がクッション言葉に目覚めて使いはじめると、その言い方を一本の電話の中で口癖のように連打してしまいます。これは逆効果です。個人的体験で「申し訳ございません」が耳に入り過ぎたとき、この方は語彙が少ない方という印象を受けました。
クッション言葉は電話の内容によって使い分けられるときに効果を発揮します。
・取次で相手から伝言を依頼されたら復唱後、「松尾様、私〇〇が確か承りました」と言うと、お客様に安心感を持っていただけます。
・電話で話す二人がマスクをしているコロナ禍での注文数の復唱は、最も気をつけでください。お客様の注文数が500個とします。お客様がマスクを通して伝えた「500個」の「5」が、たまたまなのか滑舌のせいか聞きとれず「100個」と聞こえたので「100個ですね、ありがとうございます」と復唱したとします。お客様は「はい」と答えました。どうしてこのようなことが起こってしまうのか。お客様は「500個」と注文しているので復唱確認の「100個」が「500個」に聞こえてしまうこともあるのです。そのようなときは「百円玉の100個ですね」と言葉を添えると間違いを防ぐことができます。
 
・クロージングでは、必ず名前を名乗ってからお辞儀と共に「失礼いたします」を言います。心のこもった印象を伝えられます。「電話が鳴ったら速やかに取る」から、随所に温もりのある言葉を添えて、「受話器は相手の切る音を確認してから置く」までがよい電話応対の流れです。
言葉を添えていただきたいところを敢えて赤で書きました。「言葉を添える」ことと、その言葉に合った音声表現が出来て初めて添えた言葉が生きます。「自分がしてほしいことを相手にする」を一本の電話の中に取り入れて、相手に喜ばれる電話応対をなさってください。
 
  
■松尾友子氏
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