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社員教育・営業

第159回コミュニケーション上手になる仕事の進め方81「仕事の一部ではなく、頭から終わりまでの経験をさせる」

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手



 前回、「自分の成長を感じさせるために定期的に面談をする」についてお話をしました。今回は、「仕事の一部ではなく、頭から終わりまでの経験をさせる」についてお話します。
 前回のことにも共通する大事なポイントは、
指導する相手を、いつも観察し続けることです。自分の仕事をしながらの観察はなかなか大変かも知れませんが、それが指導者としての役割でもあります。そして相手の良い面も気になる部分も、一つも見落とさないようにメモをしておきます。この情報は、「仕事の一部ではなく、頭から終わりまでを任せてみる」ときのアドバイスのよい情報です。

 ここでは、レストランのスタッフの指導という具体例でお話します。一連の仕事の体験を現場で行う前に、例えばその仕事を①から③位に分けて、それぞれを指導(指導者の説明と実演)します。
まず①のパートです。

「○○さんは、元運動部と言うことで声量は申し分ないですよね。ただ○○さんとしては前回の面談のとき、笑顔がなかなかうまく出来でいないと言っていました。私もその点は○○さんの改善の大きなポイントと思っています。鏡の前に立って『いらっしゃいませ』と同時に『笑顔』が出せるように、一日100回練習しましょうとアドバイスしました。そのアドバイスをしてから3日後には○○さんの声がやさしくなってきたので、ちゃんと練習していることが伝わり嬉しかったです。笑顔が同時に出せると、声にやわらかさが加わります。お客様は、ベテランの方だからとか新人の方だからと評価の軸を上げ下げなさいませんからね。」指導者は納得してもらえるような説明用の言葉をいくつか用意しておくと教えやすいです。

  実際私はレストランのホールスタッフの研修ご依頼をいただくと、皆様への第一声は「どんなに厨房の方々が美味しいお料理を作っても、最終味付けはホールのスタッフの皆様の『言葉遣いや立ち居振る舞い』です」と申します。すると、スタッフの皆様の目が、サッと真剣になるのが分かります。きっと厨房の方々の腕を信頼していて、自分たちが与える印象のせいでせっかくの美味しいお料理の味を悪く出来ないと思うのでしょう。ちなみに指導者の方々は、指導の際の立ち位置は一歩前より半歩前としてください。半歩前ですと上層部と現場で働く仲間との中間地点に立てるからです。さらにフィードバックの時間は必ず取ります。このとき出来るだけ本人からの発言を待ち、発言内容は目の前でメモします。この姿に相手は、自分に関心を寄せてくれていると、指導者への信頼度を高めます。

 次に②のパートです。
「〇〇さん、では本日はお席までのご案内です。」と言って大事なポイントを説明します。指導者側が説明するときは、『分かりやすく』が重要です。自分が新人だったら、どのように言われたとき『腑に落ちる』だろうかと考えてください。『腑に落ちて』行動すると、その場限りの行動ではなく今後も継続されやすいです。

②のお席までのパートで、難しいのは『席順』です。どういうご関係のお客様かを瞬時に理解出来ないと、時にはクレームになってしまいます。昔は会社の肩書は、ほぼ年齢順になっていましたから分かりやすかったですが、今は通用しないことが多いです。途中退社する人、途中入社する人——そこで起こるのは若い上司と年上の部下という関係です。指導者がそのあたりをどう乗り越えてきたか、体験から学んだことを伝えるのも大事です。「私は、テーブル席の上席の椅子の背もたれに両手をかけながら『どうぞおかけくださいませ』と言って一同をにこやかに見まわしながら椅子をゆっくり引きます。すると本人がお分かりになって進み出てくださるか、周りの方が本人に勧めてくださる場合もあります。」など。体験は理解を早めますから、本人に①②を通して動くことを勧めましょう。そのあとは勿論①同様フィードバックの時間です。出来なかったと自分で感じたところは鮮明なので、今後のしっかりとした課題となります。

 最後に③のパートです。
メインのお料理のサービスです。すでにお料理のコースをご予約のときに伺っておくと知識の事前勉強が出来ますが、メニューを見てから決めますという場合は不安を感じるでしょう。③のパートは指導者の丁寧な説明と、『百聞は一見に如かず』と言いますので上司の許可を得て、厨房に学びに行かせてください。そして知識にある程度の自信を感じたら「○○さん、①②③を通してやってみましょう。」と背中を押してください。お客様の中には、知らない食材があると「これは何ですか?」とお聞きになる方もいます。そのような時は「申し訳ございません。分かりかねます。すぐに奥で聞いてきます。少々お待ちください」と言えばよいのです。そして「お待たせいたしました。こちらの名前は○○です」と答えます。加えて「勉強になりました。ありがとうございます。」のプラスαの言葉も必要です。③では起こるかもしれないことを事前に刷り込むことも大切です。そして①②③のフィードバックです。本人はきっと見えてきた課題から話すでしょう。その意味では、指導者は良かった点を本気で褒めてください。(アドバイスは後から少しだけ)

 指導者は指導を通して、まだ学ぶことが多くあると気づかれると推察します。又①②③を通した本人は通したゆえに、例えば最初のご挨拶一つを取っても、お客様と信頼を構築するのにとても重要と体感なさるでしょう。部分では見えにくかったことが、全体の経験でその全体像を自分の目で見ることが出来ます。

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