menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

教養

第76回『育てる力』(著:栗山英樹)

眼と耳で楽しむ読書術

新年度、今のところ、あまりパっとしない話題が目白押しですが、
明るい話題といえば、やっぱり!
アメリカ・メジャーリーグに移籍した"二刀流"大谷翔平選手の大活躍ですね。
開幕前は活躍を疑問視する声も多く聞かれる中、フタを開けてみたら、
投打ともに、目を見張るような好成績。
アメリカメディアも手のひらを返したように称賛しています(笑)
 
そして、大谷選手の大活躍によって、注目されているのが
彼の二刀流挑戦を後押しし、育て上げた指導者、
プロ野球・日本ハムファイターズの栗山英樹監督です。
 
この監督、若手の育成や登用で定評がありますが、
ぼくには"非常にピンチに強い指導者"という印象です。
就任1年目の2012年、大黒柱のダルビッシュ有投手がメジャーリーグへ移籍し、
窮地が囁かれる中、いきなり優勝。
2016年には、最大11.5ゲーム差を乗り越えて、奇跡の逆転優勝。
今年も、投打の軸だった大谷選手らが抜けて、最下位を予想する評論家も多い中、奮闘。
現在、Aクラスを保ち、優勝を狙える位置に付けています。
 
そんな栗山監督がチームを創り、若い選手を育て上げて勝つための軸にしているという、
秘蔵の一冊があります。
それは『論語と算盤』。
"日本資本主義の父"と呼ばれる渋沢栄一が書いた経営哲学、人材育成の古典です。
 
栗山監督が『論語と算盤』を本格的に読み込んだのは2013年とのこと。
前年の優勝から一転して最下位となり、自分の弱さ、至らなさを痛感。
人間として成長しなければ、監督としての成長もありえないと感じ、
教えを本に求めて、手当たり次第に読んだうちの1冊が、この『論語と算盤』。
一気に読み終え、この一冊こそが現代の日本人を導く書だと確信。
その一行一行に自分の心を重ねていった、という。
 
今回紹介する
『育てる力』(著:栗山英樹)
は「勝てる組織、強い人材」を作り上げるために、『論語と算盤』をどのように
活用しているのかを具体的に綴った一冊。

76-1.jpg
 
 
 
45項目にわたるリーダー論は非常に刺激的、かつ、わかりやすい。
『論語と算盤』が土台であるため、当然ながら大元の『論語』に関する内容も
随時出てくるのも魅力の1つ。
孔子、渋沢栄一、栗山英樹、時代を越えた三代にわたるリーダー哲学が凝集されていると
いっても過言ではありません。
経営者やリーダーにとって、またとない必須の一冊ですね。
 
ちなみに、『論語と算盤』は日本ハムのほとんどの選手に贈られているとのこと。
大谷選手が読んだ感想も、本書にチラっと出てきます。
また、大型新人の清宮幸太郎選手にも2年目を迎える際に贈る予定だそうです。
もし興味を持たれましたら、本書と合わせて、読んでみたらよろしいかと思います。
 
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)~インスパイアド・バイ・バッハ~』
ヨーヨー・マ (演奏)

76-2.jpg
 
です。
 
音楽に例えるなら、論語はバッハのようなもの。
そのバッハの世界を巨匠ヨーヨー・マが新たに創造したのが本作。
『論語と算盤』や『育てる力』に通じるものを感じます。
ぜひ合わせてお楽しみください。
 
では、また次回。
 
 
 
 

第75回『名刀に挑む』(著:松田次泰)前のページ

第77回『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(著:野口悠紀雄)次のページ

関連記事

  1. 第10回 『そなえ ~35歳までに学んでおくべきこと~』(野村克也 著)

  2. 第72回 『逆転のメソッド』(著:原 晋)

  3. 第114回「世界初のビジネス書」(著:ベネデット・コトルリ、編:アレッサンドロ・ヴァグナー)

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 人間学・古典

    第122講 「論語その22」 後生、畏るべし。来者の今に如(し)かざるを知らんや...
  2. 採用・法律

    第34回 『自筆証書遺言書保管制度が始まる』
  3. 仕事術

    第66回 スマホカメラで簡単翻訳
  4. 経済・株式・資産

    第33話 鄧小平と毛沢東の「戦争」―薄煕来失脚事件研究(5)
  5. 新技術・商品

    第42話 SDGsって、手軽なところからこそ
keyboard_arrow_up