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- 第17話 利益はどこから来るか?経営計画を作るなら…。
中堅企業の経営計画を分析すると、合格点に達するのが2割あるかないかに落ち着く。とくに、独特なサービス・商品を扱っていない会社の経営計画は、その多くがどうやって利益を上げたらいいのか明確な根拠もないまま、ばくぜんと売上を上げる計画をだしてくるのが多い。
ところが、売上を上げれば借入依存体質になり、思ったほどの利益があげられないことに気づく。
デフレで、金融機関が融資に対してシビアな時代に、融資を期待して売上を拡大していくのはあまりにリスキーだ。
最近、何十億もの資産ももっているが、借入も同じくらいある従業員が百名もいる中堅企業の銀行提出用経営計画を拝見したが、やはり売上重視の方向で社内でも株主にもコンセンサスを得たもので、中身は、より債務づけになっていくものだった。
「もっと利益を重視すればいいのに!」と思うのだけれど、利益がどこから生まれるのか、知識で知ってはいても、具体的なものとして理解していないのだと思う。
しかも、全社的にコンセンサスを得た経営計画をいまさらくつがえすのは勇気も覚悟もいる。へたをすれば社長が解任ということもありえるのだ。革新的なアドバイスをしても「うちはこういう体質なので・・・」で終わってしまう。その結果、その不完全な経営計画が目標となり、結果として財務内容は悪化していく。
売上が10億円あれば3000万円が利益になるので3%といった、売上高営業利益率は、業種によってほぼ既定されている。たとえばホテルで15%の売上高営業利益率を達成しようとしても一般には無理なのだ。それでもその高利益率を達成したいと思うなら、他社にはないアイデアが必要になる。そしてそんなアイデアを考えられず、考えたとしても現在の状況を変えようというほど追い詰められているわけではないので、そしてそれほど追い詰められている企業ならすでに遅すぎるため何も変えられないということになる。
では、利益を生み出すほかの方法は?というと、経費削減といいだす企業は多いが、実際にはそれによってコスト削減で優秀な社員を失い利益も失うことも多い。
じつは「管理することで得られる利益」というのもあるのだ。
情報を全社的に一元管理し利益に変えることもできるのに、「それは社風になじまない」という企業が多いし、理解しようとしない。
かくして、八方ふさがりになってしまうのだ。
中堅企業が経営計画を作るなら、とくに銀行提出用のそれを作るなら、真摯に話し合いをして作ったほうがいい。どっちみち一度それを銀行に提出すれば、毎年数字を精査されるのだ。
真摯に話し合いをして経営計画を作るためには、話し合いをする人の財務に対する理解レベル・危機感を同じくらいにしなければコンセンサスは得られにくく、結果として「絵に描いたもち」で終わる。
社長だけがすごくても会社は良くはならないのだ。