中小企業は誰も守ってはくれません。そのため、「売上に直結しない支出は0」にしなければ簡単に資金ショートしてしまいます。
一般的に財務的基盤の弱い中小企業は、つきあっている人が悪ければ、売上に直結しない支出が多くなっていき、資金ショートに陥ることがあります。
ですから、誰とつきあっているのかはとても大事なことです。
バランスシートは誰と付き合っているのかまでもわかります。すでにお話ししていますが、誰と付き合っているかで、成長や倒産が決まるくらいです。
税金の申告書には、株主を記載する箇所がありますが、社長が100%保有している場合は問題にはなりませんが、社長以外でそれも、苗字が異なっている人が株主でいる場合は、社長以外の人の影響を受けている可能性があります。
そして、バランスシートの資産では、仮払金、貸付金そして投資の3つが要注意です。
もちろん、この3つの勘定ではなく、それに類するものも同様です。例えば、立替金などです。
領収証をもらえない相手に支払った場合、費用にもできないため、どうしても仮払金として処理することになります。
領収証をもらえない相手とは?
商売をしていますと、「わしに任してくれれば、何とか解決してあげる」と豪語するセンセイといわれる人がいます。
何のセンセイかは分かりませんが、元政治家や政治家の秘書、元役人、反社会的勢力の方々など、口利きをしてくれるらしい人がいるのです。
経験上、このような人は、前裁き金といって、お金を要求してきます。少ない人で数十万、多い人で数千万円のこともあります。
困っている人にとって、このような人の存在は、一時は、神様にも見えてしまいます。そして何とかなるのであればと、お金を渡します。
もちろん、このセンセイは領収証を発行しません。そして、「先方もなかなか忙しくてまだ会うことができていない」「こちらも、見栄というかそのようなものもあり、良いホテルに宿泊したため、諸経費がかかった」といって、また、お金を要求することもあります。
「センセイ、スーツを新調したのですか?」明らかに前裁き金でスーツを作った行動を取るセンセイもいるほどです。
間違いなく、このような人にお金を渡しても、何も成果はありません。典型的な「売上に直結しない支出」なのです。
領収書を発行できない相手に対してお金を渡す場合は、一度、会社から社長にお金を貸します。そのお金を社長は個人のポケットマネーで渡します。
これにより、仮払金処理ではなくなります。
次に貸付金ですが、オーナー会社の場合は、社長に対する貸付金はOKと考えます。
しかし、社長以外の貸付金は問題視されます。中小企業は大企業と異なり、従業員に対する貸付制度はありません。
ではいったい、社長以外、誰に貸すのでしょうか。
親族ですか。それとも・・・
社長以外の第三者への貸付金は、特に金融機関から借入がある場合は、第三者に対する迂回融資になりますので好ましいお金の使い方とは言えません。すぐに解消すべきです。
この場合も、社長にお金を貸し、社長が上げたつもりで貸すことです。
昔から、貸したお金はあげたと思えという教えもありますので。
投資については、はっきりと言わなければならないことがあります。
中小企業の社長は、会社のお金だけでなく社長個人のお金で投資を絶対にしてはいけません。
株価は刻一刻と変化します。必ず持っている株価が気になるはずです。中小企業は、社長の判断ミス一つで、おかしくなるものです。株式投資をしていれば、会社の経営に100%集中できるとは思いません。
損失が出れば、せめて元本(投資金額)が戻るのであれば儲けはいらないという社長もたくさんいます。
もともと私たち日本人は投資には不向きだと考えてください。
この3つの勘定が存在するバランスシートは、いずれ、破綻すると判断しますのでご注意を!