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46軒目 「京都三大ディープスポットで感動の出会い」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

酒肴屋じじばば(京都市下京区)
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 友人の“まっちゃん”がおすすめの店があるということで、大阪出張のおり、京都で落ち合うことにした。
 
 京都駅で待ち合わせた私たちは、京都タワーのふもとを抜け、ヨドバシカメラの先で路地に入った。道すがら、まっちゃんは、「今日、一緒に行く店は、京都の三大ディープスポットですので、驚かないでくださいね」と繰り返す。
 路地は薄暗く、とても京都の駅前には見えない路地だ。そんな、路地、烏丸七条を西に100メートルほど歩くとリド飲食街なるものがある。
 
 昔は京都にこのような飲食街はよくあったのだろうが、近代化という時代の流れで消えていったようだ。大阪や京都にあったこのような飲食街も今は数少ないとまっちゃんは言う。とても残念なことである。
 飲食街は“うらぶれた”雰囲気であり、確かにディープと言えばディープだ。しかし、新しい店も数件入り、うらぶれた雰囲気よりは、むしろ、がらりと扉を開けて、中に入りたくなるような店のほうが多い。つまり、狭い、ディープな雰囲気なのに、わくわくしてしまうというほうが正しいだろう。
 
 今日のおめあての「酒肴屋じじばば」は、このリド飲食街のちょうど真ん中くらいにある。店をガラス越しに覗くととても活気に溢れて、繁盛している。がらりと扉をあけ中を見ると満席のようである。19時も過ぎたころなので、仕方ない。「その先にちょっとコンセプトの違う系列店があるというのでそちらを見ましょうか」とまっちゃんが話しかけてくると、ちょうど常連さんらしきお客様が「どうぞ、帰ります」と席を譲ってくれることに。
 愛想のよいオーナーが「かたしますから、少々お待ちください」と一声かけてきた。繁盛店は気遣いも違うのだ。
 
shikumi46_02.jpg 店のカウンターには日本酒や泡盛が並んでいる。目の前のPOPを見るかぎり、神亀に凝っているようだ。ちなみに、二間先にある二号店はワインを主体とした店のようだ。
 メニューブックをのぞくと、無国籍の創作系のメニューがずらりある。この店の食べログでの評価が3.8点近くあるので、かなり期待している。
 
 まずは、ビールを飲んで乾杯した。そして、名物の「アボガドの自家製ラー油かけ」を注文。アボガドとラー油と言うシンプルな組み合わせだが、意外性のある料理。こういう組み合わせが名物料理となる。そして、「スジのチリソース」を注文。バケットが思わず進む。定番+定番=意外性という方程式に則った商品開発をしている。
 神亀の常温おすすめ三昧を注文もこの料理がまた絶妙。そして何より、一つの蔵を深堀していてファンづくりの方程式をついている。まさに、目的来店を考えて作った店。料理は創作の無国籍です。
 
shikumi46_03.jpg そんなかんやでまっちゃんと会話が弾んでいると、カウンター越しに店主が「大久保先生ですよね」と声をかけてきた。これだけ本を出しているから、ファンであるという人は多いので、声をかけていただくこと自体は珍しいことではない。しかし、その後が違っていた。
 「〇〇です」と店主が告げた瞬間、経営ビデオを長らくお取りいただいているお客様だとわかった。
 確かに、ビデオをお取りいただいている人は繁盛店が多い。その多くの店には極力行くようにしているが、このオーナーのように開業準備からだとタイミングを外してしまうことが多い。この手のタイプの店だった。
 そのことを知らずに来て、まさに驚いたというか感激して言葉を一瞬失った私。
 
「脱サラして開業するんで先生のビデオでお世話になったんですよ」と店主様。
「まさか、食べログベスト5000に入る店の店主が、うれしすぎる!」
嬉しくて、嬉しくて酒が進んでしまった。食欲も出てきた。
 
 〆も食べたくなり、名物の担々麺と北前そばを注文。「軽食でふらっと寄れる」これも私のメニュー作りの基本。
 お手本に出会えた感謝と素晴らしい実践力の感動を味わえた夜であった。
 
 大久保哲学満載の店。京都を訪れたら、ぜひ、どうぞ!
 
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酒肴屋じじばば(食べログ内ページ)
京都市下京区東横町180 リド飲食街内
(予約不可です)

 

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