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第41講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ  動物病院編(1)

クレーム対応 実践マニュアル

先日、女性の犬の飼い主さんから診療費が高いというクレームがありました。この飼い主さんの場合、最近来院される回数が多くなっています。この飼い主さんの場合、毎月来院されるのですが、今回だけX線検査や血液検査を行ったため、診療費がいつもの3倍以上になってしまいました。普段は穏やかな飼い主さんのクレームであったため受付はびっくりし、窓口では上手く対応できなかったようです。このような場合、どのような対応をすべきでしょうか?
(※出典:インターズー刊 Q&A解説「絆」が求められる時代の動物病院マネジメント)
 



≪対応の誤りへのアドバイス≫

(1)これまであまりX線検査や血液検査をやっていない飼い主様なら特に、それに係る費用は治療前に伝えるべきだったでしょう。もしかしたら、その費用を治療前に伝えたということかもしれませんが、相手に通じていなかったということは、伝えてないことと同じになります。
つまり、伝えるときに、適当に伝えないで、きちんと料金表を見せ、その部分を指さし、相手の承諾をいただきましたか?つまり、金額を確認してから「はい、お願いします」と言ってくださり、その後、治療を行いましたか?
それをやっていないなら、その配慮に欠ける対応に「聞いていない!」と飼い主さんがへそを曲げるのも予見できることです。今後、発生するかもしれないトラブルを予見して、防ぐ対応をしておかないとクレームはなくなりません。

(2)普段穏やかな飼い主さんだからと言って、油断をしてはいけません。どの飼い主さんであろうと、何度目かの飼い主さんであろうと、治療方法と料金と期間と、薬の説明をし、了承をいただくという行為は省かないことです。

(3)治療費の問題は、受付の人が対応するべき問題ではありません。「担当の先生から説明をさせますので少々お待ちください」と早々に医師が替わり説明するべき問題です。受付の人に解決をさせようという考えだったり、受付の人が一生懸命その金額の根拠を説明することは、クレームを拡大します。




≪解決へのアドバイス≫

(1)「なんでそんなに高いの?」「聞いてないわよ!」と言われた受付の人は、「説明が不足していたようで申し訳ございません。今、担当医を呼んでまいります」とだけ言ってください。 この時、担当医の説明が不足していたかどうか定かではありませんが、そんなことにこだわらず『説明が不足していたようで』ということです。
さらに注意すべきことは『申し訳ございません』だけを言わないこと。 『申し訳ございません』だけで謝ると『高い金額設定に詫びている』『余計な治療を詫びている』などと、本来のお詫びしたい部分以外のお詫びにとられて、後の対応に困るからです。

(2)受付に呼ばれた担当医は、不服な顔で登場せずに、「どうしました?」というような焦ったような困ったような表情で登場することが重要です。

(3)担当医が登場するや否や、相手は自分の不満をたくさん言いますので、語彙をいろいろ使って相槌を打ってしばらく聞きます。つまり、しばらくは叱られてください。しばらくは怒鳴られなくてなりません。 相手が不満を言っているときは、『言い訳』『弁解』『説明』は絶対にしてはいけません。

(4)相手の怒りの内容がだいたい理解できたらこう言います。「いつもご信頼いただいてありがとうございます。それにもかかわらず、本日は説明が行き届かなかったようで申し訳ございません」と『お礼』と『お詫び』のあいさつを長い言葉にして言うことです。 何度も言いますが、「申し訳ございません」だけでは、すべての非を認めたと解釈されかねませんので、「○○ありがとうございます」「○○だったようで申し訳ございません」と、この「○○」の部分を必ず言うことが、相手の気持ちを静めることができるあいさつです。

(5)長い文言で『お礼』と『お詫び』を言った後、「今から少しお時間よろしいですか?先ほどの説明が不足していた部分は、改めてしっかりとご説明するべきだと思いますので、お時間に問題がないようでしたら、ご説明させてください。」と、不足していたものを補う行為を提案します。 ただし、「ゆっくりお話しをしたいのであちらのお席へ」「こちらは寒いのであちらのお席へ」と相手に配慮ある言葉を加えて、座席で話すようにします。立ち話ですまそうとしてはいけません。

(6)座席は、他の飼い主さんからも見てもらえる待合室の隅の席がベストです。二人きりになる使っていない診察室や、応接室は好ましくありません。病院側が真摯に説明をし対応をしている様子を、できるだけ第三者にも見てもらうことが必要です。 他の飼い主さんからじゃまにならない程度で、他の飼い主さんからも見えるところが適切な説明場所です。

(7)説明の際には、口頭だけでやろうとしないこと。 その金額を記載した料金表や、その治療の必要性や、その検査から明確になる病原などが目で見えるものを用意し、それを見ていただきながら説明することが、説明の納得度を高める方法です。つまり、ちらし、パンフレット、カタログ、本、研究書類、グラフ、図、DVDなどです。実際の現場で診察時に説明したにもかかわらず、説明がなかったというクレームが多いのも、そもそも口頭だけで説明をしてしまったからです。相手は素人です。もっと、わかりやすく、印象に残る方法を使って説明しなければ、説明の効果はありません。

(8)そして説明の中で、絶対に言い忘れてはいけない言葉があります。「まずは動物の身になって考えると」「動物の身になると」「動物のことを思うと」という、いつもみなさんが強く持っている思いをきちんと言葉にして、差し込みながら説明をしてください。

(9)『動物の身になりすぎて、治療に先走り、飼い主さんに費用の了承をいただくという儀礼に欠けていたこと』が今回の事例の問題ですから、その思いをしっかり言葉にして、お詫びをし、工夫ある説明をすることです。

 

中村友妃子          



※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。

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