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戦略・戦術

第133話 「『売る』に急ぐな!今の経営環境」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

1、必ず売れなくなる。
 
「昔は良く売れたのですがねえ~」
年輩者がよく口にされる言葉です。
商品には「不易流行」と昔より言われています。変わらないものと変わるもの。
 
物が良く売れている会社にすれば、売れて当然、今の流れに合っているからと思うのでしょう。しかし、ヒットは10年も20年も続くことはありません。
「なぜ!売れなくなるのでしょうか?」
飽きられた、他社が真似をした。流行や好みが変った、売り方、売り場所が変わった。などなど色々な理由があるのでしょう。
 
一所懸命努力して、やっと売れるようになった。安心。
安心がやがて慢心になり、売れ行きが続くと、『売ってやる』という驕心の驕り昂ぶりの気持や経営になり、客は、やがて離れていきます。
 
経営者も毎年一つずつ年齢を重ねていくのです。今まで、顧客の購買者心理が読めても、年を重ねるごとに読めなくなるのです。
質が悪い人は、自分は市場が読めると勘違いして、会社の実権を手放さない。
時代感覚のない年を取った超ワンマンの人物がいらっしゃるのです。
 
「売れなくなったら売るのをやめて廃番にしたら」
「それでは売上が下るじゃありませんか!」
「そうです。やめるのです。売上が下って困りますか?自分の給与も会社の出金も押さえるのです。規模に応じて支出を抑えるのです」
「それが嫌だったら、次の新商品・新しい売先・新しい売り方に変えるんですよ!」
 
いつまでも旧来のモノが売れ続ける保証なんかありません。
新しい売り方・商品、お客様を考えて工夫する、頭を使う、
いつまでも売れると思うな!
いつまでも同じものを売るな!
 

2、売るに走る人は、2つの間違いを起こす。
 
1つの間違いは、物(ブツ)を売ろうとする間違い。
日本は少子高齢化社会、成熟期社会です。自社商品を価格競争のみの競争に入ると発展途上国の商品には敵いません。
価格競争では、正当な粗利益が得られず薄利多売に落ち込みます。大規模会社でないととてもじゃないが勝てない。
大会社でも、今では家電を含めて規模でも勝てません。
 
安さの競争よりも、付加価値の競争、理屈ではなく、感性の勝争、デザイン、ブランド、文化性、希少性、品質での勝負になるのです。
安さでの勝負は、非常に疲れます。貧乏くさい経営になり、私は好みませんし、指導できません。
 
もう1つの間違いは、人に頼ることです。
確かに販売力、セールスマンは、会社にとって必要ですね。
昔とちがって、今もマンパワーの個人技に頼っていては苦労するはずです。
 
確かに昔は、すごいトップセールスマンがいました。
夜討ち朝駆けで残業時間など目もくれず、すごい業績を上げる人物がおりました。今はいません。そんな事を許すと「ブラック企業」と言われてしまいます。
ランチェスターの法則とばかり営業人員や拠点を増やす社長も又、多くいましたね。
 
人に頼りすぎると人的生産性が落ちる、拠点生産性が落ちるのです。
経費ばかり増えて利益には、全々結びつかないのです。
多くの社員の顏を見ていると安心する、淋しがりやの社長がいるのです。社員が多いと安心するタイプの人物です。
これからの時代は、システム、人工頭脳、IOTが、売ることの手助けをする時代に入ってくるのでしょう。
 
トップセールスに頼っていると退職や引き抜きやらで、その人物が居なくなったら業績が一気に低下します。
 

3、「売る」に走りすぎた敗者の先輩たち
 
30年前、新神戸駅前にダイエーの中内功氏がお創りになった新オリエンタルホテルがあります。
休みに北野坂から布引の滝に行く間にそれがあるので、そこを通りました。
1~3階には かつては有名テナントが入居しており、多くのお客様を集め、連休ともなれば、人でごったがえっていました。
それが、今や空テナントが目出ち、そのうらぶれた様は悲しくなります。
オープン当時の華やいだ光景が浮んできます。ピエロが風船を子供に作ってやり、華やかな音楽がなりひびき、皆が笑顔いっぱいで、人々があちこちから溢れ出ていたのです。
 
何故こんなに人が居ないのか?
照明を落してしまっては どうしようもないだろうが!
高層ホテルで話題作りはしたが、中内氏の弟氏のポートピアホテルと比べて安っぽかったが、今、よけいにそれが目立ちます。
晩年の中内氏は何故?あんなに事業を熱病のごとく拡大を急いだのか?
ダイエーの小売業だけでいいではないか?
ハワイのアラモアナのお荷物買収、外食、ゴルフ場、ホテル業、スポーツ設備、自動車用品、金融業、ETC、1兆円を目指しておられたが…。
そんなに売上が大切だったのでしょうか?
 
大阪の江坂駅前の本社ビルの役員室の階の正前には、絶滅したマンモスの写真像があったじゃありませんか?
「マンモスは何ゆえ絶減したか?」
人間ってのは、賢い動物なのに愚かな面もあるのですね。大きくするばかりが能じゃない、わかっていてその愚をおかすのですね!
 
このショッピングセンターに入っていた焼肉屋のH社は?
サンドイッチのG社は?
サラダの有名店A社は?
勿論ダイエー系のC社も中華のK社もファミリーのC社もすべて消えてしまっている。
 
売り上げを求める。販売数字は確かに「力」になります。 一方で拠点や販売面積数に反比例するものがあるのです。
それは、「管理力」です。
経営理念、考え方は規模の拡大とともに薄れてゆきます。
当始の好意を持ったファンが、拡大とともに期待を裏切られて去ってゆくのです。御客様は、何故我社と付合ってくださっているのか?
しっかりと確認して、倒産しない経営を行うべきです。
 
売りを急ぐべきではありません。顧客心理、売りの変化に気をくばるのです。
 

 

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