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- 第72回 リモート海外視察レポート
今年2月に行った日本経営合理化協会のリモート海外視察に中国・深センから登場いただいた川ノ上和文氏からは、中国の新型コロナウイルス対策の「健康コード」、ネット販売状況、デジタル人民元などのお話を伺ったが、中でも既に行われている都市でのドローン配送の話題が刺激的だった。
■ドローン配送
ドローンを使用した配送は、アマゾンが2013年に「ドローンによる30分以内の商品配送」という構想を発表し、2020年9月初めに米連邦航空局(FAA)から航空運送業者としてドローン配送開始の認可も得ているが、まだまだ実用段階には至っていない。
日本でも、山梨県小菅村や郵便局による奥多摩で個人宅へのドローン配送実験がスタート、岡山県和気町でもドローンによる長距離配送などの実証実験が行われているが、山間部や島嶼部などで実験段階を行っているのが現状だ。
ところがアリババの本拠地でスマートシティ(城市大脳)建設も進んでいる中国・杭州(浙江省)では、世界でも珍しい都市内でのドローン配送が既に行われている。
これを行っているアントワーク(ANTWORK・迅蟻)社は、2019年10月に世界で初めて都市部での商用ドローン配送を可能にする「特定UASパイロット運用承認」(Specific UAS Pilot Operation Approval)と、「UAS配送ビジネスライセンス」(UAS Delivery Business License)を中国民間航空局(CAAC)から取得し、専用ターミナルが設置されている医療機関の間で血液、ワクチン、医薬品などを配送している。
医薬品物流配送分野は2兆元(32兆円)規模の中国国内医薬品市場の10%を占めており、新型コロナウイルス感染症拡大で更にニーズが高まっており、アントワークの今後の展開を見ていきたい。
■スマートシティ
IoTやAI、5Gなどの先端技術やビッグデータの活用によって、都市や地域の課題を解決し、快適性や利便性を向上させる「スマートシティ」構想は、日本でも内閣府が「Society 5.0」の一環として推進している。
2月23日にトヨタ東富士工場(静岡県裾野市)跡地で建設が始まった「ウーブンシティ(Woven City)」を始めとして全国で10ヶ所以上の構想があるが、中国では世界の48%にあたる490ヶ所で建設が行われている。
ロボットやドローンの活用はもちろん、コロナが生んだ新たな社会問題も含めて今後の「都市」のあり方を考える上で、スマートシティでの実験には注目していく必要がありそうだ。
======== DATA =========
●Antwork社
●内閣府「Society 5.0」