日本人のような精神的ウエットな労務管理で、幹部も従業員もトップに追従する体質に外人たちが体感をもって企業収益に貢献すると思いますか?
進出してみれば実感できるはずです。
外国人は「グラスが手から離れていった」とグラスのせいにします。
「相手に悪い」と日本人は思いますが、外国人は「相手が悪い」と思うのです。
「に」と「が」の違いですがえらい違いです。自分の責任とは認めません。
はっきりとした収益目標、行動規範、雇用契約、成果高収益と言ったドライな合理的、契約的、ビジネス的態度をとらないと前には進めないと思いませんか?
何も海外に限ったことではなく、新人類の若手社員、やがて人口減から来る人手不足時代には社員のやる気に期待することはもうできないのです。
「生産性とは態度である」と喝破されました。
日本的雇用形態は、従業員は江戸時代の藩制そのまま,一所懸命、一つの働き場所で一生をささげ、その企業体に帰属し、組織を愛し、精一杯献身的に働くのを良しとしてきた。つまり給料と処遇が温情でウエットにつながった日本的な雇用形態は、分母に人件費・社員数、分子に売上高・粗利高がくる算式としての労働生産性指数ではなく、「燃える集団」としてまさにやる気・本気・元気の仕事に取り組むという「心」「精神的態度」でつながり、世界にまれな生産性の良さを実現させてきました。
しかし、人口減少による重要市場の縮小と高齢化社会が、かっての活力を日本の企業から急速に奪っています。日本が世界に誇ってきた労務管理の仕組みは総崩れといった有様であり、やる気・本気・元気という「精神的態度」だけでは生産性をあげることが困難な状況となってきています。
一方、若い社員は、先輩社員の高給処遇のために、自分達の昇給のペースが次第に抑えられてきたと感じ取っている。だから自分と同じような仕事をする先輩たちが、自分達よりはるかに高い給料をもらっていることに納得がいかない。
たまりかねて上司に文句を言うと「まあまあ君の不満はよくわかる」とかなんとかいって居酒屋で慰められる。上司はそれで心が通じたと思っているが、部下は「ふざけるな」となる。
職場の一体感のための社員旅行も、喜んでいるのは中高年社員と遊べない中高年のおばちゃんだけで、若手は白けている。
20世紀は去り、もう21世紀に入り10年経ちました。
「稼ぐ組織」にするには何が一番重要か・・
これまでのウエットで温情あふれる日本独特の組織・人事運営と欧米のドライなやり方とを冷静に比較して、自社の組織や人について根本から見直すべき時なのです。