アマゾン傘下の「Zoox(ズークス)」が、昨年12月に公表した自律運転タクシーは、最初から人間が運転手することを考えない設計のためハンドルやアクセル、ブレーキはなく、4人の乗客が快適に移動できるように作られている。
列車のような対面式の座席で、車両は前後という区別なく双方向に走行可能で、狭い路肩や縦列駐車もスムーズにでき、時速75マイル(120km)で走ることが可能だ。
レベル5の自律走行のために、10基のレーダーに加えて270度視野のLiDARセンサー8基が車の四隅に、カメラも14台設置されており、左右と後方の歩行者、自転車その他路上の物体を常時監視できる。
Zooxでは、自立運転車は人間のドライバーよりも安全に運転できることを証明して、一般の人々の信頼を得られるかどうかを重大な課題としている。
全員がシートベルトを着用するまでは車が動かないようになっているし、安全報告書(6月22日発表)によると、5種類のエアバッグを内蔵した新しいタイプのエアバッグシステムを設計、衝突の場所や速度を監視して、衝突や衝撃の大きさに応じてどのエアバッグをどのような順番で展開するかを決定するという。
Zoox社はアマゾンが2020年6月に買収した会社で、米半導体メーカーNVIDIAの「Inception Program」というAI 、データサイエンスを使って、さまざまな業界に革新をもたらすための支援プログラムにも参画している。
現在はアメリカ国内のラスベガス、サンフランシスコ、フォスターシティで公道実証走行を行っている。
■ロボットタクシー
自律運転ロボットタクシーは、2030年までに世界中で2兆ドルの市場を生みだし、日常の移動コストを80%以上削減するという推定も出されている。
その頃には自家用車を運転する人は稀で、通常はスマホなどでロボットタクシーを呼んで快適に移動していると考えている。
ロボットタクシーでの移動が普通になると、サンフランシスコなどでは不動産面積の30%を占めているとされる自宅駐車場やショッピングモールなどの広大な駐車場が不要となり、街全体が大きく変化する。
■自律運転トラック
人間の移動手段だけでなく、トラック輸送分野でも自律運転車は注目されている。
4月15日に自律運転トラック企業として最初に上場(米ナスダック)した中国のTuSimple(図森未来)や、特別買収目的会社(SPAC)との合併で上場した、スタンフォード大学発のベンチャー企業PlusやAurora(オーロラ)、6月に上場したEmbark Trucksなど、上場ではトラックが先行している。
ロボットトラックは、道幅が広く路面が平滑で交通流量が安定している高速道路のみを自律運転走行し、高速道路の出口で人間に運転を交代することを想定しており、より早い時期の実用化を目指している。
トラックも乗用車も運転手のいないロボットカーの時代が近い将来訪れると考えている。
======== DATA =========
●Zoox(ズークス)
https://zoox.com
●Plus
https://plus.ai
●TuSimple(図森未来)
https://www.tusimple.com
●Embark Trucks
https://embarktrucks.com
●Aurora Innovation(オーロラ)
https://aurora.tech