クレーム対応成功の法則『親身的対応7つの手順』(10)『説明』で相手が引き下がると思わないこと
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
『説明』で相手が引き下がると思わないこと。『説明』は企業のルールの押しつけです。
『説明』は企業の考えの『押しつけ』です。でもお客様にそう思われないように冷静に『説明』を理解してもらうためには、相手と『ラポール』がかかってから説明をすることが手順です。
なぜなら、腹が立つ立場の人からの『説明』になんて、納得してくれる人はいません。説明の内容はどうであれ、結論はどうであれ、どんな結末がやってきても大丈夫なために、まず自分を気に入られる作業をしっかりとやることです。
企業には説明責任がありますから、お申し出者に必要な説明はしなければいけません。この説明内容は相手の事情とは関係なく、事実を正確に伝えることが最も重要なことです。つまり『説明』はお申し出者のことを思って内容を変化させることはできませんから、しばしば、お申し出者に『説明に理解』を得られずに余計に怒らせることがあります。ただ、担当者としてはできるだけこの『説明』に『理解』をしていただいて、引き下がっていただきたいという思いがあります。
そのために、担当者として工夫しなければならないのは、『説明』は『ラポール』がかかってから行うことです。むしろ『説明』の前には『ラポール』をかける作業が必要だということです。誰だって気に入らない立場の人の『説明』にはかみつきたいものです。そんな気持ちを鎮めて『説明』を聞いてもらう事が、『理解』を導く第一歩なのです。
お申し出内容がほとんど理解でき、ラポールがかかったら話し役を横取りする。いよいよ担当者が主導権をもってものごとをゴールに導いていく。
たくさんしゃべってもらいお申し出内容の全体が理解できたら、いつまででも同じお話しを聞き続ける必要はありません。いよいよ担当者が、言わなければならないことを言って、ゴールに導いていく場面になります。つまり、ここまではお客様の独壇場でしたが、ここからはもうちがいます。企業にはできることとできないことや、やりたいこととやりたくないことがあります。やるかやらないかを決める権限は企業にありますから、どのゴールにこの事例を導くかも企業の担当者が決めることになります。この事例のゴールはお客様が決めるものではないのです。
だから、担当者はお客様の気分を害さないようにして、そのゴールにお客様を導かなければならないのです。
なぜ、この事例のゴールを決めるのはお客様ではなく企業なのか?それは、その製品やサービスを生み出し市場に放ったのは企業だからです。つまり、この事例に意思を持って終結させることがその製品やサービスを生みだし、世に放った企業が責任を取るということなのです。
ただ、企業が選んだゴールがお客様や世間に受け入れられないということが発生するかもしれません。その時は、ブランドイメージを下げるという形で、責任をとることになるのです。
このように企業には責任を取るということがついて回ります。責任とは、自分たちの意思をもって対応することです。決して意思のない迎合は責任を取ることではありません。
それでは、お客様に気分を害さないようにゴールに導くにはどうしたら良いか?それは、そうなるためのテクニックを身に着けることから始めてください。
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