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人間学・古典

第41講 「言志四録その41」
人となり沈静なる者は、事上の練磨を勉むべし。快活なる者は、静坐修養を忘れざるべし。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
性格が内気な人は、実践訓練の努力をするべきである。
快活で落ち着きのない人は、静坐修養を忘れないことである。


【解説】
毎回申し上げて恐縮ですが、人間学は自分の人間性能の向上工夫を図る学問ですから、自分の欠点を
どのようにして克服し長所のレベルまでに引き上げるということは、最も基本的でしかも重要な事項です。

掲句は欠点の克服法を説いた言葉です。
組織の指導者としては、他人を指導して欠点を矯正する場合と、自分で自分の欠点を矯正する場合とがありますから、
これらの視点から考えてみたいと思います。


まず自分が指導矯正する場合から考えてみます。

私は下手な横好きですが40数年のスキー歴ですので、しばしば初級中級レベルの者から指導を依頼されます。
スキーヤーはある程度まで上達すると左右の回転のどちらかが不得手になります。
これを克服する指導方法の一つに、ある有名な指導員は「不得手側を三倍練習すれば得意になる」といい、
初級段階の完成を目指して左右をバランスよく滑れるようにしてから、次の中級段階に移行します。

これに対して私の方法は、ある程度滑れるようになったら初期段階の滑りが未完成でも、
思い切ってかなりキツイ斜面を滑らせます。
最初は転倒したりもしますが若い人であれば、直に慣れて自然に初期段階の欠点も克服しています。
一方中高年者では、面白みを感じる前に嫌気を起こしてしまうこともありますので、
誉め続けて前向きな状態で指導しなければならない場合がでてきます。


我々の学園でも、学生や受講生を指導する場合に「長所を伸ばす手法」と「短所を克服する手法」がよく議論されます。
教育指導には、指導する側や指導される側の性格や経験という複雑な要素が重なりますから、いつも結論がでません。
俗諺に「人を見て法を説け!」とありますが、「自分の力量や経験と相手の力量や状況を見極めて指導せよ!」
というような辺りが妥当なところです。


次に自分で自分の欠点を矯正する場合を考えてみます。

自分で自分の欠点を克服する場合、技術や知識のように外面からもその成長が確認できるものについては、
そのほとんどが繰り返しの反復練習で克服することができます。この場合は工夫と練習努力に尽きると思います。
問題は自分の内面、つまり心の欠点の矯正です。
例を挙げれば、消極的な心・取り越し苦労・優柔不断などのマイナス性格の克服法です。

スキーほどではありませんが人間学も39年の取組み体験がありますので、私の克服法を紹介します。
マイナス性格は永年染み付いたものですから簡単には克服できませんから、
その性格が日常生活に現れないようにする留意法と考えてください。


まず毎朝の坐禅の後に、第38講で紹介しました学生手帳のダイアリー欄にその日の行動項目を記入します。
その際、嫌な人との面談項目にはその左に「→仁眼長所」、部下への小言項目には「→日頃感謝」、
決断を要する項目には「敵前逃亡禁止」など・・・マイナス性格が生じないように事前の留意コメントを付記します。

これを
  (1)自宅で坐禅後に記入、
  (2)職場の朝礼での自己確認、
  (3)行動直前の確認・・
というように3回の自己確認を行います。

その日の精神状態にもよりますが、自分評価ではかなりの効果が出て満足しています。
心の主人公は自分自身ですから、可能な限り疑心暗鬼や取り越し苦労などの
侵犯主人公に地位を奪われないように工夫したいものです。
 

 
 
杉山巌海

第40講 「言志四録その40」書は妄りに読むべからず。熟するところありて可なり。終身受用せば足る。前のページ

第42講 「言志四録その42」少にして学べば壮にして為すこと有り。壮にして学べば老いて衰えず。 老いて学べば死して朽ちず。次のページ

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