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マネジメント

第107回 『ノー!の返事にこそ、気配りを』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

世の中、話し上手と称される人は多いが、
聞き上手というのはあまり聞いたことがない。

 
アメリカのビジネス・エグゼクティブは、
一日の総労働時間の約60%を「聞くこと」に使っている。
しかし、それほどの時間を費やしているわりには、内容の理解は薄く、
記憶となると、もっと心もとないという調査結果がある。
 
たとえば、4時間ばかり誰かの話を聞いていたとしよう。
そのうち聞き手がちゃんと聞いているのは、せいぜい1時間、
それが、どの程度覚えているかとなると、たったの8分ぶんという調査もある。
 
人はいかに聞くことが苦手であるか、わかろうというものだ。
 
といって、苦手なままにしておいて良いわけではない。
少しでも聞き上手になるような姿勢を、示すべきである。
 
 
私の友人に、国際関係の法律を専門にしている弁護士がいる。
いつ行っても、相談者が絶えないほど繁盛しており、
私が待たされることもしばしばだ。
 
そうした折、彼が実によくメモを取っていることに気がついた。
そこで、「ずいぶんメモを取るんだね」と何気なく聞いたところ、
彼はこう答えるではないか・・・
 
 「実は、ポイントさえメモすれば、それで済んでしまうんだ。
  でも、相談者にしてみれば、いろんなことを訊きたいんだろうね。
  同じようなことを繰返し質問してくることが多いよ。
  はっきりいって時間のムダなんだろうけど、一応、お客様だからね。
  それで、熱心に聞いているように振る舞うために、
  メモを取っているように見せているんだよ。なに、イタズラ書きさ・・・。」
 
たしかに、イタズラ書きといえども、そこに法文のひとつでも書かれてあれば、
法律のシロウトなら、熱心に聞いてもらえていると錯覚するものだ。
 
このメモ作戦、ある場面では参考にすることもできるだろう。
ただし、本質論ではありえない。
 
やはり、聞き上手になるためには、それなりの努力が要るものだ。
 
 
たとえば、部下の声にいかに耳を傾けるか。
 
気のない返事や、無視したような返事ばかりでは、
部下はそっぽを向いてしまうのはもちろんだが、一番良くないのは、
部下の意見に対して「ノー!」と言っておいて、
そのまま放っておくことだ。
 
 「君、私はあの時、ダメだという判断をしたが、
  いろいろ調べてからもう一度結論を出すよ。
  ほかの人間にも意見を聞いてみよう。」
 
といったフォローがポイントとなる。そのうえで、
 
 「やっぱり君の意見にはムリがある。
  違った角度から、もう一度考えてみなさい。」
 
とすればどうだろうか。
 
それをしないと、コミュニケーションが取れないばかりか、
その部下は二度と意見を具申してこなくなるだろう。 その方が、怖い。
 

 

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