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人間学・古典

第30講 「言志四録その30」
人は少壮の時にあたりては、惜陰を知らず。四十を過ぎて以後始めて惜陰を知る。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
人間は20歳代や30歳代では、人生の大切さ(惜陰)を知らない。
40歳を過ぎて、初めてその大切さを知る。


【解説】
「惜」とは、惜しむことですが何処かに大切に したい気持ちも併せ持ちます(例:惜別、惜春)。
「陰」とは本来は影の意味ですが、光陰などのように過ぎ去る時間を意味し、ここでは残された人生の余命時間です。
よって「惜陰」とは、人生の余命の日々を惜しみ、一日一日の大切さを感じることです。


20歳の時の1年も40歳の時の1年も共に365日ですが、過ぎ去る時間の感覚は10年単位で加速されます。
10歳までの10年を10年/10歳、20歳までの10年を10年/20歳、
30歳までは10年/30歳と、2倍3倍に加速されるのが人生の速さです。

この感覚を「無常迅速感」と言いますが、晩年にいくほど余命の日々が速く過ぎ去ることを警告する仏教用語の一つです。
今現在の『即今』の充実を図るためには、重要な言葉です。


私共の人間学読書会では、今現在の『即今』をかなりのレベルで研究してきました。
『即今』の捉え方には3種類があります。

  ・過去(誕生日)から繋がっている今・・・・(今・積算法)
  ・過去未来を裁断した瞬間の今・・・・・・(今・瞬間法)
  ・有限未来(臨終日)から逆算した今・・・・(今・逆算法) 

見性悟道の域に達した高僧や聖人ならば、堂々と「今・瞬間法」の生き方が最善ですが、
凡人がこの生き方を真似ますと安易な刹那主義に陥る危険があります。
そのための次善の策として、読書会の会員には「今・積算法」の生き方よりも「今・逆算法」の生き方を薦めています。
この理由は簡単で「臨終の日々と思え ば、緩み無し」と言いますが、七月末の3日間に出来なかった夏休みの宿題が、
八月末の3日間に出来るのは、逆算の今を自覚し緊張感がもたらした能力アップだからです。


改めて掲句の惜陰を定義すれば、

  『無常迅速を感じ、消滅していく人生の一日一日を自覚し真剣に生きる』ことになります。

唐詩選にある劉廷芝(リュウテイシ)の「白頭の翁を哀しむ」という有名な詩を紹介します。

    『今年、花落ちて顔色改まり (意) 花が散るごとに人は老い・・・、
    明年、花開いてまた誰か在る   次の花は誰が見る?
    年年歳歳、花相似たり   花は年毎に美しく咲くけれど・・、
    歳歳年年、人同じからず』   見る人は同じからず。

 

杉山巌海

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