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第33回 でんさい(電子記録債権)利用のすすめ

どうなる金融業界

 紙の手形や小切手の廃止方針が出されるなど決済の電子化が待ったなしに進んでいる状況は、前回のコラムに記したとおりである。そして、手形に変わる有効な手段に、「でんさい(電子記録債権)」がある事はご存知だと思う。ところが、その「でんさい」の利用企業数の増加は頭打ちになっているようだ。

 

 今回は、「でんさい」の基本的な機能や活用メリットなどについて、改めて確認しておきたい。

 

でんさい とは?

 手形債権や指名債権(売掛債権など)が抱える問題を克服する新たな金銭債権として、2013年2月より全国銀行協会の下で始まった仕組み。

 

 電子債権記録機関(でんさいネット)の記録原簿に、「いつ、誰が、誰に、いくら支払うのか」という情報を電子的に記録することにより、債権の権利内容が定められる。

 

 現行の手形と同様に割引や担保として資金調達に使え、裏書譲渡も出来る。全国の銀行はじめ信用金庫、信用組合など金融機関で利用できるシステムで、取引銀行を通じてサービスを受ける事が出来る。

 

 利用者登録数は、2013年の開始から2年余で一気に40万社を超えたものの、その後は鈍化し現在は約47万社。債権の発生記録請求額は、凸凹あるが右肩上がりで月間約30兆円に拡大している。

 しかし、利用が増加しているとは言え、まだまだ手形・小切手から主役の座を奪うのには程遠い状況である。下表は、企業規模別の決済方法の割合であるが中小企業、小規模事業者はもちろん、大企業ですら普及はまだまだこれからだ。

※ でんさいネット作成資料

 

 一方で、手形・小切手の利用についての調査によると、手形を振出す側も受取る側も8割以上が「やめたい」あるいは、「やめたいがやめられない」と回答している。
これに対して手形・小切手をやめられない理由は、下表のとおり相手先の希望や取引慣行が大半を占めている。つまり「自分としてはやめたいが、周りがまだなもので。」と様子見を決め込んでいるところが多いのである。

 

 逆に言えば、周りが進みだせば一気に加速する可能性は高い。

※ でんさいネット作成資料

 

 

でんさい利用のメリットは4つ

① コスト削減

手形・領収書の取扱いに係わる印紙税、郵送料等を削減できる。
例えば5百万円の債権の場合、支払企業も受取企業も印紙税や郵送料などで2千円近く掛かっていたコストが、数百円程度に低減できる。

② 事務負荷削減

手形への記入・押印、取立依頼等の事務負荷を削減できる。現物の作成や受渡しからWEB上での操作に変わるため、格段に省力化できる。

 

③ リスク削減

手形と異なり、盗難・紛失リスクも削減できる。
現物の作成や管理に起因する事務ミスや紛失リスク、或いは盗難リスクを排除できる。

 

④ 資金繰り円滑化

でんさいは、支払期日の当日から資金利用が可能。
また、必要な資金の分だけ分割して資金化することも可能。例えば、受取債権額が700万円のうち、300万円だけ割引したり、取引先への支払に分割譲渡することが出来る。
期日振込からの切替としても有効で、支払企業にとっては早期処理による業務効率化が図れ、受取企業にとっては、早期での債権内容の確認や資金化が可能となる。

 

 

相手も切り替えを望んでいる

 以上、でんさいは債権の支払、受取の両面において、手形よりもコスト削減、事務負荷削減、リスク削減、資金繰り円滑化とメリットがあり、導入する価値は高い。
未だ手形・小切手の利用から脱却できていない経営者には、早期の切り替えをおすすめする。

 

 そうは言っても、「取引先や周りがまだ導入してないので。」とネガティブな気持ちは出てくるかもしれないが、その相手も本心では切り替えを望んでいるのである。

 

 導入にあたっては、でんさいネットによる様々なサポートや事例紹介もある。また、各金融機関も積極的にサポートしているので、先ずは相談してみてははいかがだろう。

でんさいネットHP : https://www.densai.net/

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