自社株の譲渡には時間が必要!
経営者ならどなたでも、毎年110万円の贈与税と基礎控除額があるのはご存知だろう。それでは毎年110万円を子供に証拠を残して贈与してい る社長は、世の中に何人いらっしゃるのでしょうか。毎年110万円贈与し続けると、9年で1000万円、18年で2000万円、36年4000万円にな る。
現実には、毎年同額を贈与し続けると、一括贈与とみなされる。そこで年によっては120万円~300万円支払って贈与税を納めることをはじめ、 贈与契約書・記録が残るように銀行振り込みにし通帳や印鑑をそろえて、後日の否認されないような対策を明確にやっておくことである。
300万円子供に贈与したら、子供はいくら贈与税を支払わなければならないか。これさえ知らない社長も多いのは困るが、次の計算のように、 19万円支払えばよいのである。
(300万円―110万円)×10% 19万円
300万円で19万円は6.5% これを高いと見るか安いと感じるか。
又、18歳から実家を離れれば、学資は贈与税対象にならず月40万円ほどは送金が可能であり、卒業して社会人となれば非常勤取締役として月8万 円~15万円を合法的に支払うことが出来る。
要は本命後継者が35歳前後で取締役に就任する長期ライフプランをたてておけば、その前後に自社株の売買を実行すればよいのであ る。
何はともあれ、未公開企業の自社株は、
・ 優良会社の株価評価が体験高い
・ 紙切れで換金性がない
・ 社長の財産のほとんどが自社株
という理由からも問題点が多く、納税資金負担も後継者には重い。しかし時間を見方にすればまだまだ「相続税精算課税制度の活用」などの対策はたてられるのである。
そして、後継者が貯めた金の中から、社長には株売却による自社株売却益の20%の相当額の税木を支払い、総合課税ではなく分離課税だから、多額 の現金が手元に残る事になる。
税金を支払い80%くらいの金は全て戻ってくるのである。
後継者には、株式購入資金が必要な時はやがて必ず来る。その時に、必要な資金を後継者が貯めていないのは、譲渡者に責任があると考えるべきなの だ。
自社株の譲渡は「受ける側」が決めるのではなく、「渡す側」がいつ、いくらで、どれだけ渡すといわない限り、受ける側からは言い出せない。業績 のよい会社では自社株が後になるほど高くなる場合もある。これらを考え併せれば、自社株の譲渡には十分の時間をかけなければならないことがお分かりいただ けよう。