平成22年度予算案は、44兆円という空前の赤字国債発行を予定して3月末に成立しました。
一般会計の総額92兆円のうち税収は37兆円、税外収入
(いわゆる霞ヶ関埋蔵金を含む)を10兆円超見込む異例の国家予算です。
戦後、焼け野原だった昭和21年以来64年ぶりに、国債発行額が税収を上回る予算になりました。
財政は崖っぷちに立たされています。
ところで、世界同時不況下ではリスク回避の傾向から、円預金や日本国債という通称「安全資産」に資金が集中しました。
しかし、日本の財政事情を考えれば、現在の安全資産は将来の安全性に懸念があり、
むしろ近い将来のリスク資産と考えられます。
国の借金残高は、来年3月末には973兆円と予測され(財務省)、
GDP約490兆円対比で200%の巨額になり、米国の37.5%などと較べて突出します。
日本国債は海外資金ではなく、国内資金が買い支えるから安全でしょうか。
実は、その国内資金も限界に来ています。家計貯蓄率は、1980年代の15%超から現在3%に落ち込み、
将来は高齢者の貯蓄取崩しによりマイナスになると予想されます。
買い余力が乏しい中で、今年度の国債発行計画は借換債など162兆円にもなります。
「国債の大増発国が金利上昇とインフレに襲われる。」ことは歴史が証明するところです。
「デフレ脱却が課題である時期にぴんと来ない話」と思われるでしょうが、財政破綻の可能性に強い危機感が必要です。
そして、私たちは、安全資産を過信しこれに過剰に依存することなく、
金利上昇やインフレにも備えた経営と資産管理を考慮しておく時期でしょう。