日本全国に約820万戸ある空き家、住宅総数の13.5%という空き家率になる。適正に管理されず放置された空き家問題に対して本格的対策が打たれる一方で、都心不動産にミニバブル懸念も。不動産の投資や有効活用も手仕舞いの方法、出口戦略が重要になってきた。
昨年11月に成立した「空き家対策特別措置法」では、適正に管理されない空き家への立ち入り調査、所有者への除却・修繕命令ができるようになった。今年度の税制改正では、放置された空き家は固定資産税の優遇措置から除外されることになる。これからの不動産運用や住宅所有は、将来も空き家にならない物件を目利きし維持管理する視点が重要だ。
収益不動産、つまり賃貸用物件の空き家も問題だが、自宅でも子供が住み続けるとは限らないから、代替わりしたら空き家になる時代である。したがって、相続後に相続人が賃貸するにしろ売却するにしろ、空き家にならず事後処理が容易な物件を選択しておくことが肝心。また、今年始まった相続増税対策として、遊休地上にマンションなどの貸家を建築して財産評価を減額する節税手段が多用されている。この対策も建設予定地の将来性、即ち将来も人口増加または維持される地域でなければ、出口で失敗することになる。
既に空き家率が20%を超える県も複数あり、竣工直後は満室でも老朽化が目立つと空き家率も急増する。空室増加は資金繰りを圧迫して適切な維持修繕が難しくなり、更なる空室を招く悪循環に。結果として、出口の売却損失は相続税の節税効果以上の金額になることも多い。不動産経営の採算性に関して、従来以上に厳しい目を向けて頂きたい。
一方、東京五輪の招致やアベノミクスにより首都圏の再開発が進展している。90年代のバブル崩壊で地価の長期低迷が続く東京など大都市圏の物件は、シンガポールや香港・台湾などアジア主要都市やニューヨーク・ロンドンなど国際金融センターの物件よりも投資利回りが高かった。加えて一段の円安が国内不動産の投資利回りを高めて、海外の投資資金が一気に流れ込み、都心不動産はミニバブル状態といっても過言ではない。
しかし、主要先進国の金融緩和による過剰流動性がいつまでも続くものではなく、米国の利上げによる金融緩和の出口(終わりの始まり)は年央とも予想されている。そして、多額な経済効果が期待される東京五輪も2020年8月には閉幕する。いまから厳しさが予想される「宴の後」の出口戦略を考えながら、不動産の投資や有効活用を心掛けて頂きたい。
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