menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人間学・古典

第二十六話「避けにくい責任転嫁」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

※本コラムは2000年代に井原隆一氏が書き下ろした「不況は会社守成の好機」全41話のコラムを再連載するものです。



“尊敬できる上司とは”という質問を受けたことがある。

突差の質問にこう答えた。
“当然果たすべき責任を他に転嫁せず、すすんで責任を果たすこと”と答えた。

とかく失敗、過ちを他のセイにして己を良き人間としよう者もないではないようだが
これは人格を下げることはないものである。

たとえば、中国の史上稀にみる大人物といわれた楚の項羽も、漢の劉邦と戦って破れ、
身体極まった時、生き残りの部下二十八騎前で“吾、兵を起こしてより八歳、七十余戦、
いまだかつて敗れざるなり。戦いの罰にあらず”と述べている。

つまり、戦いが拙劣であったから敗れたのではない天が自分を滅ぼすのだとのべているが、
直接の敗因は、智将范増(はんぞう)の策を用いなかったからと言えるだろう。つまり己の過ちを
部下のセイにもできず何にも言わない天のセイにしたとしか思えない。

かつての土地投機で失敗したある会社の社長は当社の倒産は土地価額が急落したからだ、
と言っている。自分の責任ではない、と言外に述べている。これでは却って笑い者にされるだろう。
失敗を他のセイにする者には反省がない。反省がない者には進歩改善がないものである。

現職時代、女房が三面鏡を買い替えると独り言をいっている。買い替える理由は
近頃写りが悪くなったからという。それに対してこう言っておいた。
“こわれていない鏡を買い替えるよりも鏡に写すものを取り替えたらどうだ”と。

 ※栗山英樹氏から、本コラム井原隆一氏の「人の用い方」書籍と、井原隆一「人の用い方セミナー」収録講演CD版・デジタル版を推薦いただきました!

 監督の仕事は、選手の心を動かし、勝利の高みに導くことです。人をいかに用いて、信頼感を高めるか―――
その答えを求めて、私は井原さんの「人の用い方」のCDを5年間、毎日球場までの往復2時間、車の中で聴き、本をカバンに忍ばせていました。選手は勝利のために厳しい練習をしているわけですから、私は素振りの代わりが勉強だと思っています。

 

第二十五話 「松柏は霜を受けても」前のページ

第二十七話「豆を煮るに豆がらを焼く羹」次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第十五話 「怒りを止むるは」

  2. 第十話「精神一到」

  3. 第三十四話 「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」

最新の経営コラム

  1. 第50講 カスタマーハラスメント対策の実務策㊲『出るところに出る!』第2部

  2. 「展示会の見せ方・次の見どころ」(2025年12月)

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2025年12月10日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    日本型組織の弱点(6)転換期のリーダー像
  2. ビジネス見聞録

    第5回 今月のビジネスキーワード「デジタル・トランスフォーメーション」
  3. コミュニケーション

    第119回 「気配りとは、存在・要望・感情に気づくこと」
  4. 経済・株式・資産

    第31回 中小M&A 自社売却を失敗しない心得
  5. ビジネス見聞録

    「展示会の見せ方・次の見どころ」(2025年4月)
keyboard_arrow_up