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社長業

第37回 経営とは、「経験の科学」である

繁栄への着眼点 牟田太陽

 ※本コラムは2022年5月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 牟田 學も、「経営とは、経験の科学である」と常々言っていた。
 
 どんなに後継者に知識があって、勉強が出来て、論理的であっても、経営が上手くいくかというとそうでもない。経営は、「成功の経験」と同じように、「失敗の経験」も数多く必要とするからだ。数多くの経験が、蓄積となって人を育てていく。

 だから、とにかく現場の経験を積ませ失敗を経験させてほしい。長くやらせる必要はない。質の問題だ。その後、少しずつ役職を上げていく。後継者は、普通の人が階段を一歩一歩上がっていくのに対して数段飛ばしで上がっていく。それがまた後継者を鍛えることとなる。

 そこで、「まだ自分には早い」「この仕事が出来るようになったら」と言う後継者もいる。そんなことを言っていたら、一生出来ることはないだろう。自分の能力の一歩先の仕事を自分の意志で掴むかどうかが成長を決める。そこから数多くの失敗を経験して自分の糧にしていけばいい。

 会社の継ぎ方には色々ある。

 早くから、「そろそろ継ぎなさい」と言われ会社を継ぐ者。「ウチの父が、全然社長を譲ってくれる素振りを見せないんです」と相談に来る者。父親の急逝で突然社長になる者。これらは代表格だが、会社の数だけバトンタッチのやり方は存在する。父親が突然他界したことで会社を継ぐこととなった人を何人も知っている。皆それぞれ立派なまでに会社を経営している。

 人生とは実に不思議なものだ。

 父親を早くに失った後継者が不幸かと言えば必ずしもそうとは言えない。父親を失う悲しみはある。しかし、その悲しみ以上に得るものもある。それが先にも述べた、経験であったり、成長である。

 牟田 學がそうだった。父親(私の祖父)を早くに亡くした。当時の牟田家は女系家族で、四人兄弟であったが男は牟田 學一人だった。「早く自分が一人前になって家族を養わねば」と小さい頃から思っていた牟田 學は、学生時代から会社を興した。そして卒業して直ぐに日本経営合理化協会を立ち上げた。実に早熟だった。

 私は違う。会社に入協した時には、社員も多い、お客様もいる、商品もある、恵まれた中で入った。しかし、後継者は後継者なりの悩みもある。皆そうだろう。

 私は三人兄弟の三番目だ。ここでも女系家族で末っ子長男だった。小さい頃から遊ぶ相手も年上、年上の人と接している方が楽に感じた。それは日本経営合理化協会に入協しても同じで、10歳ほど年上のお客様とよく食事に行っていた。

 当時20代の私は、「何故、もっと早く生まれなかったのか」というのが悩みだった。所詮無理な話で、今となってはどうでもいい。創業者と二代目は、同じ道で繋がっているがそれぞれの立場によって悩みは異なる。

 社長、後継者、多くの人が私の所に相談に来る。多くの父親は息子に対して、「何故、俺の思うとおりに動かない」などと悩んでいるし、また多くの息子は父親に対して、「時代が変わっているのに」などと悩んでいる。立場が違うので、その悩みは相容れることはない(ことが多い)。

 歴史的に見ても、戦国時代の世から、人は親を裏切り、期待に背き、疎んじてきた。親の有難さは失ってみないと分からない。「早いか」「遅いか」の差ではないかと思う。

 願わくば元気なうちに会社を継いでほしい。お互いに、「もっと手腕がついてから」と言っていたら、冒頭で述べたように一生出来やしない。経営とは、「経験の科学」だからだ。事業発展計画書を作り、それを渡し、継がせて、多くの失敗の中から経験を積ませ、手腕をつけさせなければ結局のところ会社は永く続かないのではないか。私も次代に対してそうありたいと思う。

 

※本コラムは2022年5月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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