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社長業

第38回 勝ち負けの「果実」をどこに置くか

繁栄への着眼点 牟田太陽

 ※本コラムは2022年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 戦略とは何か。

 広辞苑には、「戦術より広範囲な作戦計画。各種の戦闘を総合し、戦争を全局的に運用する方法。転じて、政治・社会運動などで、主要な敵とそれに対応すべき味方との配置を定めることをいう『販売上の―』」とある。経営においては、「一時の売り上げや利益」では会社は永く繁栄することは出来ず、「広範囲」「長期的」という視点が重要となる。

 会社を興したばかりのときにはライバルは少ない。そこに時間とともにライバルが現れる。さらに時間が経つと争いもお互いに巧妙になってくる。ライバルとの戦いも、日々の営業や交渉事も、相手が強気に出てきたり、時に喧嘩を売られる時もあるかもしれない。それも冷静になって考えると「短期的な果実」を求めていることが多い。そんなモノは与えておけばいい。決して永くは続かないからだ。

 社長が(自社が)長期的な視点を持っているなら、ライバルの短期的な勝利など意味はない。営業においても先方の要求をある程度飲み、こちらは「長期的な果実」を得るための条件を提示してもいい。この「短期的な果実」「長期的な果実」を社長が(自社が)使い分けることが必要だ。しかし、幹部はじめ社員はこれが分からない。オーナー社長とサラリーマン社長の最大の差もここだ。社員が分からなくて当然のことと思う。だから幹部教育が必要なのだ。

 三愛の元社長であり、かつて営業の鬼といわれた故田中道信先生に前述したことと同じことを言われた。「太陽さん、『やらせておいて勝つ』『騙されて勝つ』『負けて勝つ』この三つを覚えておいた方がいい」と二人で指導先に向かう新幹線の中で何度も言われた。「勝って、勝とうとしないこと」若い頃は道信先生のこの言葉が何のことか理解が出来なかった。いまなら良く分かる。

 「短期的な果実」にばかり目を向けていたら、結局のところ会社は永く続かないのだ。また、「幹部たちが、どのような欲やインセンティブで働いているかを正しく見抜くこと」とも道信先生は言っていた。社長は、そこを正しく見抜き、導かなければいけない。

 「長期的な果実」は重要ではあるが、そのためには日々のキャッシュフローの余裕が大前提である。余裕がなければ、そもそもとして短期決戦しか選択肢が無いからだ。盤石な財務体質をもって「短期的な果実」「長期的な果実」その使い分けを選択出来るのが「強い経営」といえる。

 

※本コラムは2022年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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