リーダーに求められる条件について述べてみたい。
リーダーに求められるもっとも基本的な条件は、「方向性を示すことのできる人」ということである。
特に、短期目標との整合性のもとに長期の目標や戦略を打ち立てて、部下にその大枠を示すことは、
管理者にとっての必須の条件である。
長期とは短期の積み重ねであるから、もちろん着実な短期業績が極めて重要であることは言うまでもない。
しかし、その短期はといえば、大前提として、意図する長期の枠組みの中での位置づけでなければならない。
これができない管理者は、「その日暮らし管理職」ということになる。
そのうえでの話になるが、管理者として心せねばならないことは、
「ふたつの帽子をかぶれるか」ということだ。
ひとつは、営業担当や技術担当といったように、自分の担当する部門の長としての帽子、もうひとつは、
会社の代表としてのもっと大きな帽子である。
前者、すなわち部門長の立場では、プレイング・マネージャーとしての率先垂範が求められる。
「百聞は一見に如かず」と云うが、私なりの言い方をすれば、「百見は一考に如かず、百考は一行に如かず」
と続けたい。
部下に対する指導の面で最も効果的なのは、百の説教をたれるよりも行動で示すことである。
そのうえで、自分が担当する部門の利益の最大化を図ることは、基本的な条件といえるだろう。
もうひとつの帽子、すなわち会社の代表者としての立場では、管理者は、自分の部門の責任者という面に加え、
もっとマクロの立場から会社全体の「POS」づくりの面で、会社の発展に貢献する責任がある。
「P」とは、企業哲学とか理念を意味するPhilosophy。「O」とは、長期目標のObjective。
「S」は、目標達成のための戦略のStrategyのことである。
個々で大切なことは、部門の最大利益は必ずしも会社の最大利益と一致しない場面もあるということである。
したがって、時と場合によっては、いささか部門の利益の面では妥協してでも、会社のためという視点を持つ
必要がある。
会社全体は一部門に優先する。その中で、部の利益と会社の利益の整合化や調整を図るのが、管理者の
仕事のひとつである。
What is best for my department. を乗り越えて、
What is best for our company. でなければならない。
ときには、リストラや人員削減を自分の担当部門から敢行するくらいの気持ちと覚悟も必要である。
これができるか、できないかが、二流・三流の管理職で終わってしまう人か、トップの座につく人かの差でもある。