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社員教育・営業

第38講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ(7)
~新品の黒いストッキングを着用しようとして、パッケージから出し、履こうとしたらいわゆる伝線が入っていた~

クレーム対応 実践マニュアル

お客様:50歳くらいの主婦らしき女性
お申し出方法:お電話
お申し出日時:金曜日の夕方5時半くらい
受け付けた窓口:アパレルメーカーのお客様相談室
商品:1200円のブランドものの黒の薄手のストッキング


主なお申し出内容:
「さきほど購入してきた、黒のストッキングをパッケージから出し、今、足先を入れたところでいわゆる伝線があり、この状態では履いて行けない。開封してすでに伝線がはいっているなんて、出荷の際の検品ミスじゃないんですか?!1200円もしたのだから、一般のストッキングより、丈夫だと思ったのに、いきなりこんなことでガックリです。もう出かけなくては行けないのに、どうしてくれるんですか?!」

お客様の希望:
今すぐに着用する必要があるので、5分以内にお詫びとして持ってきてください!


求めたいアドバイス:
ストッキングの伝線を発生させた原因の根拠や発生させた当事者がつかめないこの時点での、お詫びの提出は妥当なのだろうか?また、5分以内に持参をするというのも、現実にはむずかしいし、持参までする必要があるのだろうか?ただこの場では、この苛立ちを鎮め、原因究明についての今後の運びを理解していただきたい。


アドバイス:

(1)ストッキングの伝線は、いついかなるきっかけで発生したものか確定するのにたいへん悩ましい事例です。また、ストッキング1足ぐらいのことで、今すぐ持参はできないという考えも、正直企業側には発生する思いです。

(2)ただ、お客様のお話しや状況をつなぎ合わせると、このお客様が激昂している理由が見つかるのではないでしょうか。
たとえば、
   もう出かけなくては行けないのに、どうしてくれるんですか?!
    B さきほど購入してきた黒のストッキング
    C 今すぐに着用する必要があるので、5分以内にお詫びとして持ってきてください!
 この3つのキーワードから、「黒のストッキングを着用して、出かけなければならないことが発生しているので購入してきた」と、黒のストッキングを購入する理由の基本になるお話しがあります。
   D お申し出日時は 金曜日の17時
 ということは、『黒いストッキング』が絶対的に必要となる状況にあるにもかかわらず、先ほど購入してきたということは、これまでストックの用意がなく、また、これ以上のストックもないということが想像できます。

(3)つまりは、どうしてもわずかな時間のうちに、黒のストッキングが必要だということを、理解してほしいという思いが伝わってきます。

(4)一方では、その伝線の原因の所在の追究に関する作業を開始しなければいけませんので、現品を拝見し、調査を行う事が必要です。そのために、お手元のものはこちらにいただくことお伝えしなければなりません。

(5)そもそもお客様がお買い上げになった、1200円の現品をこちらにいただきますので、1200円相当のものはお渡しすることが必要です。但し、これはお詫びではありません。調査のために必要な交換作業です。

(6)なので、1200円の相当のものか、同じ商品をお渡しすることは、当然のことと言えます。この時点でお客様の手元には、1足正常品が届きますので、着用したいというご希望だけは、叶えることができます。

(7)本来このやりとりは、郵便等を使って行うわけですから、お客様の手もとに、正常品が1足到着するのは、本日というわけにはいきません。ですが、お客様は着用して今から出かけたいと事情をお持ちのようですので、この問題をどうしようかということになります。

(8)そもそも、今から黒のストッキングを着用して出かけたいことが発生し、それがかなわないと焦るのは、お通夜の参列や、逆におめでたいことの二次会におしゃれをして出かけたい思いが予想されます。つまり、あまり日常的には発生しないことが発生していることが多いのです。

(9)だから、焦っているのではないかと推察し、そのお気持ちを鎮める言葉を投げかける作業も忘れないでください。「何か、特別なところにお出かけですか?」など、相手が自分のプライベートな事情を言いやすくするためのきっかけの質問をします。そこで「恩人のお通夜です」等というお言葉が返ってきたら、「それは、失礼のない身だしなみでと思いますよねえ」と共感をする言葉を一言いうことです。するときっと、「そうなんですよ!」と相手も同調するひとことを、怒り声をだしながらも言ってくださるでしょう。

(10)そうして、ラポールがかかってから、こちらの今からの対応方法の説明をしましょう。ラポールをかけないままで、こちらの考えだけを言っても、必ず強烈に拒否をされますので、まずはラポールをかける作業をお願いします。

(11)今からの対応の手順ですが、お客様に新品の1足は交換品として、遅かれ早かれお渡ししますが、お客様自身には、今スグに着用したいご事情がありますので、そのこともクリアできる対応が好ましいでしょう。

(12)「それでは、原因を究明いたしますので、お手元の物は明日にでも私共にご返送ください」

(13)「その前に、今からご近所のお店で、同額のものをご購入いただき、それを着用なさってください」

(14)「伝線の入った現品をお送りいただく時に、今、購入なさったストッキングの領収書を同封なさってください。そうしますと、その領収書金額をお返しいたします。つまり、今からご購入いただいたストッキングが交換品ということになります。但し、領収書の金額がいくらでございましても、交換品への対応としましては、上限1200円のお返しでございますので、ご理解くださいませ」

(15)「ただ、原因究明の結果、私共に原因の特定にあたるような結果が出ましたら改めてしかるべきお詫びを考えております」

(16)という対応にし、今スグに着用できるものを購入頂き、その金額は後日お返しする(ただし、レシートか領収書があれば。なければお返しできないことをしっかりと伝えてください)という提案が、今のお客様のお気持ちをすべて、凌げるものになるのではないかと考えます。

(17)お申し出者のお話しの中には、解決のヒントがたくさん含まれています。そのヒントを無視しないで、なんとかできないかと工夫をすることが、お申し出者の気持ちをとらえ、引き下がる思いを高めることになります。

(18)自分の会社のルールだけを、延々とお伝えすることだけで解決できると思うその怠慢な思考がクレームをこじれさせます。こじれそうなクレームには、それ相当の知恵と工夫と汗を出さなければ解決はできないという考えを持って対応をすると、予想以上にこじれることを防ぐことができます。

 

中村友妃子          


※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。

第37講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ(6) ~業務用の大型複合機が、購入して1年2カ月後に故障をした。保証期間が切れているとはいえ、2カ月しか経っていない。無料修理をしてほしい~前のページ

第39講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ(8) ~3年前に購入されたプリンター。年末に年賀状を印刷しようと思って1年ぶりと言っていいくらいに電源を入れた。がエラーが発生して電源が入らない。急いで修理をしようとメーカーの修理部門に電話をくださった。だがもうこの型番の物は部品保有期間が過ぎているので、修理対応ができないという説明に納得がいただけない~次のページ

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