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製造業

第172号 高等技術・技能をどう伝えるか~その5

柿内幸夫─社長のための現場改善

 師走もすでに中旬となりました。来月は来年です。今月は普段の月よりせかせかしがちですが、私は師走に入ってからは、何をするにも一呼吸おいて、落ち着いて動くことを意識しています。

 というのも、根があわて者なので、こういう時は気をつけないと大切なものをなくしたりしがちだからです。

●毎年恒例のクリスマスディスプレイ紹介。名古屋駅で見かけた巨大ディスプレイです!

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●こちらは、先日箱根で見つけたサンタクロースです。サンタのおじさんに、頑張っている日本の社長にもプレゼントを贈ってくださいとお願いしました。24日は靴下をご用意ください。

kaki172-2.jpg さて、今回は間違いやすい仕事の場面において、S社で考えた「ポカミス」を防ぐ方法を、ご紹介いたします。

 《事例その5》

 S社は、手作業中心の精密な板金加工をしています。完全な注文生産なので、毎回お客様から頂いた図面を見ながら、鉄板を切り出して、次に曲げ加工をして、その後いろいろな仕様を加えて仕上げます。

 もし、図面の読み方を間違えると、最後の段階で組みつけができなくなったり、お客様の要望と違ったものができてしまったりします。しかし、やはり人間のすることです。ちょっとした思い込みや勘違いというのは、時々起きてしまいます。

 また、お客様から頂いた図面に、必ずしも寸法がきちんと記入されているとは限らず、計算で寸法を出す際に、計算間違いをしてしまうこともあるようです。

 お互い人間だ、このようなことは時々あるさ….、といって間違った製品をお客様が買ってくださるのであれば、たまの間違いもご愛嬌ともいえるかもしれません。

 しかし、もちろんそんなことはあるはずがなく、納期遅延で怒られて、徹夜で仕上げて特別便で配達して…といった、とんでもない出費により大幅な赤字を計上することになることでしょう。

 しかしながら、このような事件は、多くの方が日常レベルで経験されているかもしれませんね。

 さて、このような失敗がなかなか減らなかったS社では、ある改善を行った結果、自分たちの勘違いなどによるミスをゼロにしました。

 その改善は「てんかい君」と名づけられた仕組みです。作業をする人が、これから作る製品の簡単な展開図をシステム手帳サイズの小さな用紙に手で描き、寸法を記入したものをまず作ります。

 この段階で、まず図面を読んでそれを自分の手で書き写すので、左脳だけでなく右脳も使うことになり、脳力全開になるからでしょうか。まず、読むだけであったら見逃してしまったり、勘違いしてしまいそうなことが、正しく判断されるようになります。

 そして、この次がすばらしいのですが、その近くで仕事をしている同僚の一人に、「てんかい君」を見せながら図面を説明して、同僚にチェックをしてもらいます。同僚が良しと判断して「てんかい君」にサインをしてくれたら、作業を開始してよいということになるのです。

 S社においては、この「てんかい君」は例外なしでの展開です。どういうことかというと、新人が先輩にチェックを受けるというのは当たり前ですが、最ベテランでもうすぐ60歳になるKさんでもチェックを受ける必要があるのです。時には、今年入った新人のAさんのチェックを受けることもあります。

 Kさんに話を伺っていた時のことですが、実は先日A君に間違いを見つけてもらっちゃったんだよね、と明るく大声で笑っておられました。

 このやり方は、単純なチェックの仕組みというだけではなく、コミュニケーションの仕組みでもあります。私はAさんにチェックを頼み、間違いを指摘されたということを明るく話してくださるKさんのご協力に、とても感謝しています。

 つまり、この仕組みはお互いの信頼がないと成り立たないのですが、ベテランが若手を育てることにも、大変に効果を上げているようです。

 あっという間の一年間、この号が今年の最終回になります。今年一年のご愛読に心より感謝申し上げます。皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。では、また来年!!

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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