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不動産

第41回 交通条件が良い事が一番大切。

売れる住宅を創る 100の視点

今回からはフェーズ7「 住環境づくり 」のお話を致します。まず「 住環境づくり 」の5項目の内の最初の一番大切なポイントである『 交通条件が良い事が一番大切 』の御説明を致します。

前回はフェーズ6「 土地の仕入れ 」の第6項目『 埋蔵文化財包蔵地はお金と時間がかるので購入しない方が良い。 』のお話を致しその大切さを私の今までの経験を通して具体的に御説明致しました。特に準大手や中堅ディベロッパーが新規分譲マンションや建売戸建の事業をいたします時に時間とお金がかかる土地を購入致しますと、かなりリスクが高いと御説明致しました。
 
今回はフェーズ7「 住環境づくり 」5項目の第1項目です。毎回、申し上げていますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとってはこれから分譲予定物件の「 住環境づくり 」はとても重要で会社のイメージにつながります。ですので、今回のタイトルはまず一番重要な『 交通条件が良い事が一番大切 』に致しました。今回も私の今迄のマンションや建売戸建の設計業務の経験に基づいた重要な提言です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に『 交通条件が良い事が一番大切 』の重要さを具体的に御説明を致します。
 
毎回、申し上げましていますが、私は2000年に体調を崩し「 東急設計コンサルタント 」設計部長を辞し退職致しました。「 東急設計コンサルタント 」在籍中に数多くのマンションの設計・監理の経験が現在では私の財産です。そして、2002年に「 碓井建築オフィス 」を設立し、現在までに十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションや建売戸建団地等の商品企画のコンサルティングや設計監修を数多く行っています。
 
これらの経験を踏まえて、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの用地取得担当の方に申し上げたいのは、今回は商品企画の時には用地選定にもかかわる事ですので『 交通条件が良い事が一番大切 』は商品企画部門の方だけでなく、用地仕入れ担当者の方々も是非御読みいただきたいのです。
 
「 住環境づくり 」で最も重要なのが『 交通条件が良い事が一番大切 』なのです。
 
住環境の良い地域で「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」を販売致しますと、交通利便性が良いと直ぐに完売しています。住環境が良い地域でも交通利便性の悪い「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」の販売は苦戦を強いられています。
 
まず「 戸建団地 」の理想の交通条件は、最寄り駅から徒歩15分以内ですが、その様な地域には戸建向きの「 第一種低層住居地域 」が少ないのが現状です。「 第一種低層住居地域 」は概ね最寄り駅から徒歩15分超かバス利用の場所にあります。
 
しかし「 戸建 」を購入する方は、車所有者が多いので、朝の通学・通勤は奥様が駅まで、子供や御主人を送るケースが多いので、最寄り駅から徒歩15分超の地域でも車で行きますと6分~7分程度で最寄り駅に到達いたしますので、あまり心配する事はないのですが、最寄り駅までの道路が極端に細かったり「 一方通行 」道路が多いと、売れ行きに影響致します。
 
そして、バス利用地域では最寄りのバス停留所が「 戸建団地 」より徒歩3分以内である事が大切です。私の経験では良い商品企画の「 戸建団地 」分譲を致しましても、最寄りのバス停留所が「 戸建団地 」より徒歩3分以上ですと、かなり苦戦致します。また、最寄りのバス停留所を通っているバスの最寄り駅までの所用時間が10分以上ですと、良い商品企画の「 戸建団地 」でも苦戦致しました。特に朝の通学・通勤時間帯は最寄り駅に向かう道路は混みますので、バス会社に問い合わせた時間内、例えばバス所用時間10分となっていましてもその時間の約1.2倍~1.5倍時間がかかる場合が有ります。その辺りもディベロッパーの担当者は販売前に朝の通学・通勤時間帯に「 戸建団地 」最寄りバス停留所から実際に最寄り駅までバスに乗って実際の所用時間を測っておき、顧客に聞かれたら回答できる様にしていますと、顧客の信頼が得られます。これも非常に大切な事です。
 
次に「 分譲マンション 」も「 住環境の良さ 」は非常に大切です。特に「 商業地域 」での「 分譲マンション 」は「 住環境 」に適さない地域ですので、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーはかなり苦戦致します。「 商業地域 」は大きな駅でなければ、大抵最寄り駅より徒歩3分以内( 240m以内 )の地域です。
 
何故苦戦致しますかと具体的に申し上げますと「 商業地域 」は建築的には「 無法地帯 」に近いのです。販売をしたマンションの目の前に高い建物が建つ可能性が大なのです。また風俗店、遊戯場、飲食店や割烹等ほとんど、なんでも建てる事ができます。夜は遅くまでうるさいですし、飲食店の調理の色々な臭いが上方に上がって漂って住戸内に入ってくる例が多いのです。
 
更に「 商業地域 」は周辺環境が悪く「 住環境 」には適さないので、特に子供が居る家族の方は、「 商業地域 」に建つマンションは敬遠致します。ですので「 分譲マンション 」を企画する場合は最寄り駅よりまず徒歩3分離れた場所の土地を入手するのが安全です。
 
ですが、最寄り駅より離れすぎると「 分譲マンション 」の場合は完成在庫住戸が多くなります。「 分譲マンション 」は都市性の高い住宅ですので、通学・通勤に便利な場所がお奨めです。
 
「 分譲マンション 」の用地取得の場合、私は常に最寄り駅から徒歩3分離れて徒歩8分以内( 640m以内 )が売れ行きがよい場所ですと提言しています。徒歩8分という半端な数字ですが、この表示は平らな机の上に地図を広げ、最寄り駅からマンション用地までの距離を計測しています。計測された距離を80mで割った数字が徒歩○分になるのです。不動産公正取引協議会では徒歩1分を80mと定めていますからです。
 
先程も申し上げた様に平らな机の上に置かれた地図で最寄り駅からの距離を測っても、実際は開かずの踏み切り、信号待ちの長い幹線道路やアップダウンの坂が有りますので、それらを考慮いたしますと、物件概要では最寄り駅より徒歩8分でも徒歩10分以上かかるケースが多いいのです。マンション購入者は高額の買い物ですので、最近は大抵の方が最寄り駅よりマンション建設地まで実際に歩いて確認をしています。
 
最近は、超大手ディベロッパーや大手ディベロッパーでも最寄り駅より徒歩10分以上の物件の販売はことごとく苦戦しています。中には竣工後1年以上経過しても総戸数の半分しか売れていないケースがかなり見受けられます。
 
ここまで御説明致しました様に「 戸建団地 」や「 分譲マンション 」は『 交通条件が良い事が一番大切 』なのです。特に準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは私が御説明した事を肝に銘じて商品つくりをして下さい。会社の存続にかかわる事だと思います。
 
次回は「 住環境づくり 」第2項目の「 社会環境 」に関してのお話をいたします。
 
次回も期待して戴ければ幸いです。
 
PS:2月1日に私を含めて4人共著で「 新版 マンションはこうして選びなさい 」という
   本を「 ダイヤモンド社 」より上梓致しました。御笑読戴ければ幸いです。
 
 

 
新版 マンションはこうして選びなさい/amazonへ
 
以上
碓井民朗

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