中国人が越境ECによって日本商品を購入する市場規模は、2021年にはおよそ3兆円にまで成長すると予測されている。ここ数年、拡大し続ける中国市場を取り込むべく、次々に新しいプラットフォーマーが登場して、参入しやすい土壌が出来上がりつつあり、いよいよ中国越境EC本格化の時代を迎えた感がある。
今年1月1日に完全施行予定だった中国の越境EC新制度は、2019年以降も猶予措置が延長され、今回は期限を定めることなく、現行の管理政策を引き続き適用することを発表した(中国国務院常務会議)。つまり、越境EC輸入商品に関して、輸入許可書・登録・届け出の必要がなくなったのだ。この他、「保税区モデルの対象都市の拡大」「越境EC輸入限度額の拡大」「越境EC対象商品の拡大」も決定され、越境EC事業者に大きな朗報がもたらされた。
保税区モデルの対象都市については、保税区を活用した政策が適用されてきた既存15都市に加え、新たに北京市、モンゴル自治区フフホト市、瀋陽市、ハルビン市など22都市が追加され、その対象都市は37に拡大した。越境EC輸入限度額は、越境EC小売輸入商品の1回当たり取引限度額を2,000元(約3万2,000円、1元=約16円)から5,000元に増額、年間上限額も1人当たり2万元から2万6,000元に拡大している。そして、輸入関税が優遇される越境EC対象商品についても、新たに63品目が追加され、合計1,321品目となった。
これらの発表により、中国政府は規制緩和に前向きであることが見て取れる。一方で、越境EC企業・プラットフォーム、支払い業者などの責任強化や代理購入規制(中国電子商務法/ 2019 年1月1日施行)もスタートさせており、越境ECの健全化と市場拡大を積極的に推進していく方向性が明確となった。中国越境ECは、これらの拡大策をキッカケに新たなステージに入るだろう。