「フォーカルポイント」
初対面の際に、最も強く相手に印象が刻まれる部分、それが胸から上。
男性の場合は、まさにスーツのVゾーンから頭にかけてです。様々な表情を刻む顔が、最も引き立ち、
伝えたい(伝えるべき)メッセージをスムーズに伝えることのできるイメージや、自分のポジションやその場での立場
(TPOごとの変化)を自然と周囲に認知させるのも、この範囲で様々な調整ができると言っても過言ではありません。
そのような場合に最も効果をなすアイテムが、ネクタイ。
いまや誰もが知ることになった「パワータイ」の威力は、その素材感・色・結び方、スーツとシャツとの組み合わせ、
背景となる場所などなど様々な要素とのバランスの上に成り立っており、これを効果的に使うと、その場での
コミュニケーションが大きく変わるのです。
艶と鮮やかさ
某大企業のクライアントA氏の例です。
ある大きなプレミアイベントが開催された際に、いつもはつけないようなネクタイを試してみたところ、参加されていた
大人な年齢の女性達からとても評判がよく驚いたとのこと。
大きく天井の高いゴージャスなホテルの会場で行われた会、背景としては十分なほどの華やかさ、その企業イメージも
インターナショナルで華やか、そのような会場特有の温かみのあるライト、壇上にあがってのスピーチで浴びる
ライトなど、すべてが非日常。
シナリオも舞台も全てでき上がっているこのような状況であれば、参加されている方々の期待値も、全てにおいて
非常に高くなるのは当然です。
そこに、社長であるA氏は上品な光沢のある落ち着いた赤のネクタイを締めて登場。
背景にふさわしく、この場面で彼の表情を輝かせる戦略的演出ができたのでした。
「大きな会場」「パーティー会場特有のライト」「華やかなテーマのイベント」
このキーワードがそろったのであれば、ネクタイは光沢のあるものを身につけるのがふさわしいでしょう。
日常的な艶を抑えた物を身につけたのでは、裏方さんのようになってしまい、企業のトップとしてその日人前に立つと
いう立場も周囲から分からなくなってしまいますし、集まった方々に何のメッセージも伝えることができません。
また、女性参加者が多いイベントの際には、やはり赤やその他明るいきれいな色で光沢のある素材のタイを
選ぶことが、注目を集めるポイントです。
なんせ、女性は光る華やかなそして明るいイメージが大好きですから。
信頼の肩
そして、このような大きな会場であればあるほど様々な角度から見られているからこそ、見ている人に無意識の
イメージを与えているのが肩のライン。
人間の体は、なかなか左右対称とはいかないからこそ、スーツの肩のラインが勝負です。
左右の肩上のラインがすっきりと、後ろ側の首の下や肩に沿った部分に余計なしわが出ない、そのようなスーツを
身につけることで地に足のついた落ち着きと、堂々と自信のある人、信頼のおける人というイメージを周囲に
与えることができるのです。
日常とは違い、晴れの場では全方位から見られています。
しかし、終始「だいじょうぶだろうか?」と心配している訳にもいきません。
どのようなテーマのイベントで、どのような方々がターゲット、どのような会場を使い、
自分はどのようなメッセージを伝えなくてはならないのか。
これを明確にし、事前にその日の戦略的な装いを準備しておけば大丈夫なのです。
また、これから年末にかけて、日本では年始まで様々なイベントが行われ参加されることが多くなることと思います。
その際には、そのような場面に出席される参加者の任務として、主催者の意向を汲み、その場とご自身の立場に
ふさわしい装いで出かけられることが望まれます。
ダークスーツで大丈夫な場合は、ネクタイを少々光沢のあるものにしたり、いつもより華やかなイメージにする、
ポケットチーフを加え、靴をより良いものに履き替えるなど。
そうすれば、その会をより一層盛り上げることが出来、コミュニケーションを円滑にし、スマートな参加者として
出会った相手の印象に刻まれることでしょう。
このように、TPOごとのイメージを考えるのも、重要な立場を持った企業のトップエグゼクティブとしての任務の一つです。
ただのおしゃれではなく、装い・振る舞いはその人自身の価値基準が無意識に現れる部分。
だからこそ、ほんの少しの変化が大きな結果に結びつくのです。
多くの方々と会う機会の多くなってくるこの時期、是非ともビジネスシーンにおける日常と非日常を分けるイメージと
そのポイントをご自分の中で試してごらんください。